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コンコンコン
『来たよ〜』
中に入るとイタチは本を読んでいた。
イタチ「……何だ」
横顔を眺めているといつの間にか見入ってしまったらしい。
『ああごめん。知り合いに似てたからついね。邪魔した?』
イタチ「!…そうか」
本当は気になるんだろうなぁ。
さり気なく話してみようか。
『その子凄くプライド高くて毎日辛い修行も頑張っててさ。…確か誰かを殺して復讐を果たす為…だったかな』
イタチは無言で話を聞く。
無視をしている訳では無い。サスケの話だからな。
『でも俺は復讐なんてして欲しくない』
少し、ほんの少しだけイタチが動揺した様に見えた。
『復讐に理由があるように、その人も何か理由があったんだ。復讐の連鎖から生まれるものなんて何も無い』
木の葉が怯える理由は分かる。
写輪眼一つで里を潰す事なんて容易だからだ。
だったらその大きな力を味方に付ければ良かったんだ。
里の外れなんかに追いやらずに受け入れれば良かったんだ。
うちは一族は繊細なんだから。
『……ふふ、さっきから手が止まってるけど?弟の話に聞き入っちゃったか?』
イタチ「…知っていたのか」
『知ってるさ。君が一族を滅ぼす日までは何度か話を聞いたことがある。名前も知ってた。君の話をする時は何時もより楽しそうだったよ』
イタチは目を閉じ、そうか。と一言だけ呟いた。
自覚は無いのかもしれないがその顔は弟の成長を素直に喜ぶ兄そのものだった。
俺はイタチから本を取り上げた。
『サスケの話をしよう!!』
イタチは呆然としたが、少しだけ笑い、ああ。と体ごとこちらに向いた。
イタチ「その前に本を返してくれ。読んでいたところが分からなくなる」
本を渡し、二人で夜遅くまで話していた。
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作者名:咲夜 | 作成日時:2023年1月21日 14時