華の町＿08 ページ8
．
-逃走-
裏の勝手口から一人の遊女(遊男)が飛び出した。
その顔は無表情だったが何かを呟き焦っているように見える
侑李「出なきゃ…、こんなとこから出なきゃ……。」
遊女はその足取りで門へ向かう
美しい遊女が裸足で外を歩いている
そんな珍しい光景を、周りの男達は驚き半分、好奇の目で見ていた。
引きずった着物の裾と裸足で歩き回った足は泥だらけになり、髪も少しばかりか崩れてきている
それでも侑李はここから出ることだけを考え門へ向かう
「ちょっと待て！」
その声で侑李は現実に引き戻される
気が付くと目の前で門番が自分の行く手を塞いでいた。
「お前、何処の奴だ？ここから先はいけない。戻れ！この門から堂々と出ようなんざよほど肝が座ってんだな」
自分が今どういった状況なのか理解が出来た侑李はまた来た道を引き返し始めた。
ズルズルと着物の裾が砂埃をたてながら無我夢中で歩いてきた道を歩く侑李の目には涙が浮かんでいる
少し冷静になった侑李は先程のことを振り返る
あんなこと初見せが終わってしまえば日常茶飯事だろう
しかも、もう守ってくれるものは何もない。
あの行動には続きがあるってことくらい遊郭にいれば子供でも知っている
そう思うと気分が悪くなってきた
胃の中でグルグルとごちゃまぜになって喧嘩でもしてるように
気分が悪い
侑李「……っ」
道のすみにうずくまり気持ち悪くなっている原因のお腹を擦る
なんで、こんな
僕だけ、
もうやだよ…。
侑李はそう言い聞かせると声をあげて泣いた
そんな時だった。
「綺麗だ…」なんて声が聞こえて、僕の前に人影が映ったのは
泣いて汚くなった顔でその人を見上げた
「大丈夫ですか？」
そう言うと侑李の身体を支えてあげた男の顔はとても綺麗だった
侑李はその男を見た瞬間、動くことが出来なかった
そして侑李を支えた男も動こうとはしなかった。
侑李「お名前、きいても…」
涼介「あ、俺涼介っていいます！」
侑李「…涼介、さん」
侑李は何度も忘れないようにその名を繰り返し呼んだ
2人の間に流れる空気は他とは決して違った。
侑李は、この時思ったのだ
この人が水揚げの相手だったらよかったのになと。
．
《水揚げ》
遊女としてお客さんをとる前に必ず通らないといけない初めての行為のこと
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たいやき(プロフ) - 初めて読んだ設定で、とても面白かったです！やまちねは尊いです(*^O^*)これからも頑張ってください！ (2019年10月30日 20時) (
レス) id: 2edd79c1bf (このIDを非表示/違反報告)
知岡 李椏(プロフ) - mklove0714さん» 返信遅れてすみませんm(_ _)m私事って言うかお仕事って言うかなんて言えばいいかわからないですけど、まぁ忙しい日々が続きまして。早めに更新するので待ってて下さい！ (2019年6月2日 0時) (レス) id: 8b3eb70ba5 (このIDを非表示/違反報告)
mklove0714(プロフ) - ぜひぜひお願いしますっ、、！！！ (2019年5月31日 0時) (レス) id: 9e814b8d61 (このIDを非表示/違反報告)
知岡 李椏(プロフ) - mklove0714さん» ほんとですか！？嬉しいです(Ｔ＿Ｔ）出来たらそのあとのお話もおまけとして書きたいと思います！ (2019年5月30日 22時) (レス) id: 8b3eb70ba5 (このIDを非表示/違反報告)
mklove0714(プロフ) - コメント失礼致します。めちゃくちゃ良いお話でした！！！その後…みたいなお話を見たいです(*^^*) (2019年5月30日 22時) (レス) id: 9e814b8d61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：知岡李椏 | 作成日時：2019年5月30日 13時
