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華の町_28 ページ28




-花魁道中-








そして遂に、その日がやって来た。



町の人達はまだかまだかと何十年ぶりかもわからない花魁道中を待ちわびていた



その日は町も煌びやかに飾をつけ、町全体が御祭状態



道はとても混雑していて騒がしかった。



そんな日に侑李は綺麗な花柄の着物を身に付け大きな帯を前にリボンをおいて、きらきらと輝く簪を頭に付けた



光「侑李、あんたどの遊女達よりも綺麗だよ」



侑李の着物を着せていた光がその美しさにふと口を零した。



侑李「姐さん、ありがとう」



そのありがとうの中には何が含まれているなんて事は光には分かっていた



光「あぁ、立派な花を咲かせておいで」



光は微笑んで「もう時間だ」と言うと禿達は侑李の着物を支えながら、丈の高い下駄を持ってきた。



その下駄に足を入れると、侑李はゆっくりと町を出たのだ



何年ぶりの外だろうか
ずっとこの檻の中で過ごしてきたからか、侑李は外に出たことを悪いとも思った


だが、下を向いてはダメだ。としっかりと前を向き一歩一歩ゆっくりと道中を歩いた


周りには禿がいて横や少し先の前には使い達が大きな傘を持っている


綺麗な着物に身を包んで現れた侑李に町の人達は皆口を揃えて言うのだ。



「なんて綺麗なんだ」


「これが花魁道中…」


「別嬪さんじゃ」



町の人達は皆侑李に釘付けだった。


侑李は間違いなく、この吉原に大きくて立派な花を咲かせた


だけれど、町の人達は吉原遊廓という館で暮らす遊女達の事を華びやかで綺麗だと言うけれど


遊女達の苦しみはまだまだ知らない者達ばかり

入るのは自由でも抜けることは出来ないこの地獄


侑李はここまで努力し成長してやり遂げた。



いろんな人の目を感じながら、侑李は無事花魁道中を成功させたのだ。



丈の高い下駄から足が抜けた時、侑李を見守っていた光がふと声をあげてある一点を見つめていた。



光の視線を辿るとそこには背の高い男が立っていた。



光「宏太さ、ん…」



光は驚きすぎて身体が動かなかった


光が見つめていた男は、光の想い人の宏太だったのだ。






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たいやき(プロフ) - 初めて読んだ設定で、とても面白かったです!やまちねは尊いです(*^O^*)これからも頑張ってください! (2019年10月30日 20時) (レス) id: 2edd79c1bf (このIDを非表示/違反報告)
知岡 李椏(プロフ) - mklove0714さん» 返信遅れてすみませんm(_ _)m私事って言うかお仕事って言うかなんて言えばいいかわからないですけど、まぁ忙しい日々が続きまして。早めに更新するので待ってて下さい! (2019年6月2日 0時) (レス) id: 8b3eb70ba5 (このIDを非表示/違反報告)
mklove0714(プロフ) - ぜひぜひお願いしますっ、、!!! (2019年5月31日 0時) (レス) id: 9e814b8d61 (このIDを非表示/違反報告)
知岡 李椏(プロフ) - mklove0714さん» ほんとですか!?嬉しいです(T_T)出来たらそのあとのお話もおまけとして書きたいと思います! (2019年5月30日 22時) (レス) id: 8b3eb70ba5 (このIDを非表示/違反報告)
mklove0714(プロフ) - コメント失礼致します。めちゃくちゃ良いお話でした!!!その後…みたいなお話を見たいです(*^^*) (2019年5月30日 22時) (レス) id: 9e814b8d61 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:知岡李椏 | 作成日時:2019年5月30日 13時

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