華の町_03 ページ3
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「お前はもう、うちの子じゃないよ」
それは、固い鈍器で頭を殴られたような感覚に似ていた。
まだ幼い僕にその言葉は絶望を感じさせ
少年は涙も出さずに立ち尽くしていた
どうして…
昨日は撫でてくれたのに
名前を呼んでくれたのに。
「全く、酷い親だよ。最後くらい優しく嘘でもついてやればいいものを」
先程お母と話していた女の人が呆れたように僕達親子を見ていた
「ふん、同情なんぞかけるだけ無駄なんだ。出来損ないのお前なんていらない。
こいつのせいであたいが惚れた男はみんな逃げて行ってしまう。
子は1人で充分だ。やっと解放されるのに同情なんてしてやれるか」
そして女の人の言葉は今度は僕に向かって投げ掛けられる
「あんたは、どうなんだい?いくら小さくても今、あんたがおかれてる状況くらいわかるだろ?
多分…、いや、絶対に。あんたと母親が話せるのは今日が最後だ。
今のうちに言いたいことは言っておけ」
まるで興味もなさそうに棒読みで話す女の人は固まって俯く僕を眺める
侑李「お母は…、お母は…お兄が大切だもんね。僕のこと、ずっと邪魔だったんだもんね」
着物の裾を握りしめ、やっと出たそれは蚊のなくような声だった。
「あぁ、さっきも言っただろう?あたいはあんたが邪魔なんだ。要らなくなったら売るのは世の中で当然のことだろ?」
またも返ってきた言葉は、もはや母親が子供に言うものとは思えないほど酷なものだった
ねぇ、お母
僕、悔しいよ
「はぁあ…。あんたもこんな母親のとこから抜け出せてよかったねぇ。」
「……。」
はぁ、とため息をつきながら出ていくお母を静かに見つめながら少年はただ立ち尽くしている
その顔に哀しみの色は浮かんでいなく、ただひたすらに母親の出ていった先を眺めている姿は女将の目からみてもたった六つの子とは思えなかった。
“こいつはもしかしたら将来、太夫になるかもしれない”と女将は思ったのだ
「おい」
女将が呼ぶと少年は振り向く
その顔にはやはり哀しみの色はなく、白い顔を無表情にしてこちらを見ていた。
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《禿(かむろ)》
身売りされた幼い子達の事でよく花魁や上級の遊女達の隅につき雑用しながらたくさん学ぶ子達のこと
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たいやき(プロフ) - 初めて読んだ設定で、とても面白かったです!やまちねは尊いです(*^O^*)これからも頑張ってください! (2019年10月30日 20時) (レス) id: 2edd79c1bf (このIDを非表示/違反報告)
知岡 李椏(プロフ) - mklove0714さん» 返信遅れてすみませんm(_ _)m私事って言うかお仕事って言うかなんて言えばいいかわからないですけど、まぁ忙しい日々が続きまして。早めに更新するので待ってて下さい! (2019年6月2日 0時) (レス) id: 8b3eb70ba5 (このIDを非表示/違反報告)
mklove0714(プロフ) - ぜひぜひお願いしますっ、、!!! (2019年5月31日 0時) (レス) id: 9e814b8d61 (このIDを非表示/違反報告)
知岡 李椏(プロフ) - mklove0714さん» ほんとですか!?嬉しいです(T_T)出来たらそのあとのお話もおまけとして書きたいと思います! (2019年5月30日 22時) (レス) id: 8b3eb70ba5 (このIDを非表示/違反報告)
mklove0714(プロフ) - コメント失礼致します。めちゃくちゃ良いお話でした!!!その後…みたいなお話を見たいです(*^^*) (2019年5月30日 22時) (レス) id: 9e814b8d61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:知岡李椏 | 作成日時:2019年5月30日 13時