〈◇〉ダイヤのおとぎ話 (ページ13)

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ヘンデルとグレーテル2＊沢村栄純と小湊春市ページ13

次の日の朝、また太陽が昇っていないのに、おかみさんがやってきて、二人の子供をたたき起こしました。

A「さぁ!起きるんだよ。この怠け者たち。

今日はみんなで森へ薪を取りに行くんだから!!」

それから、2人にそれぞれ一切れずつのパンを渡していいました。

A「このパンは、お前たちの昼ごはんだからね。決してお昼前に食べるんじゃないよ。

もうこれっきりだということを忘れないでね。」

4人はそろって、森の中へ入っていきました。

しばらく行くと、エージュンは立ち止まって、家の方を振り返りました。

同じ事を何度も続けるので、お父さんが尋ねました。

雷蔵「エージュン、何をしてるんだ?」

沢村「あぁ、俺、猫を見てたんだ!!」

と、エージュンが言いました。

でも、本当は、エージュンは猫を見ていたのではなかったのです。

立ち止まって振り返るたびに、ポケットから小石を1つだし、道に投げていたのです。

森も奥に来ると、お父さんが言いました。

雷蔵「お前ら、ここでたき火をするから、薪を拾ってこい。」

エージュンとハルイチは薪を拾い集め、山のように積み重ね、薪に火がつき、炎が高く燃えがりました。

春市「綺麗だな...」

二人は長く座っているうちに疲れてしまい、居眠りを始めたかと思うと、そのままぐっすりと寝込んでしまいました。

目を覚ましたときには、もうあたりは真っ暗でした。

春市「ねぇ森から出られるの...?」

ハルイチが泣き出しました。

沢村栄純「もう少し待ってくれ。」

まもなく満月が昇り始めました。

エージュンは、弟の手を引いて歩き始めました。

投げておいた小石が銀貨のように光って、二人の行く道を教えてくれました。

二人は夜中じゅう歩き続けて、夜明けとともに家へたどり着きました。

A「まったくしょうがない子達だね。

どうして今頃まで森で寝ていたのさ。

お前たちはもう、家に戻りたくないのだと思っていたよ。」

おかみさんが残念がっていいました。

そんなことがあってまもなく、お母さんがお父さんに話す言葉を、またも子供たちが聞いてしまったのです。

A「もう何もかも食べつくしまったわ。

どうしてでも、子供たちに出て行ってもらわなくちゃ。

今度こそ、帰り道の分からないほど深い森に連れて行くわ!

そうしないと、私たちおしまいよ...。」