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夏休み明けの9月1日。
私たちの教室は“ 転校生 ”と言うキーワードで
埋め尽くされていた。
蛍「ねえどうする？イケメンだったら」
「そんな期待しちゃダメだよ。転校生がイケメンなのは漫画の世界だけだから」
蛍「夢のないやつ！」
男子も男子で騒がしい。
風磨「可愛い子くるかもよ」
聡「なんかドキドキするね」
ざわついた雰囲気の中、ホームルームは始まった。
担任「みんなももう知っているみたいだが、今日は転校生が来ている」
ざわつきが一層大きくなる。
あぁ、転校生可哀想に。
こんなに期待されて。
担任「ほら、入ってこい」
背の高い男の子が、教室に入ってくる。
途端、さっきのざわつきが嘘みたいに教室は静まり返った。
担任「簡単に自己紹介よろしく」
男の子は軽く頷いた。
健人「中島健人です」
斜め後ろの席の蛍が、やばいやばいと呟いているのが聞こえた。
うん。確かに、やばい。
中島くんの席は窓際の一番後ろ。
つまり、私の後ろの席だ。
蛍のやばいは大きくなる。
私の横を通って、蛍の隣に座る中島くん。
蛍は顔を両手で覆った。
休み時間、蛍は胸を張って私の席に来た。
蛍「あれ？転校生がイケメンなのは漫画の世界だけなんじゃなかったっけ？」
「うるさいなぁ笑」
ちらっと後ろを見てみると、中島くんは頬杖をついて窓の外を眺めていた。
「話しかけてみる？」
蛍「えっ、マジで言ってる？」
「マジ」
私は深呼吸をして、振り向いた。
「中島健人くん、だっけ？」
中島くんは視線をこっちに写す。
健人「そうだけど」
睨むような目で私と蛍を交互に見る。
「私、七瀬Aです！よろしくね」
蛍「星宮蛍です。よろしく」
中島くんは頷いて、冷たい目でまた窓の外を見た。
･･････冷たい。
蛍はそれでも目を輝かせている。
この人、ドMか？
私は蛍を廊下に連れ出した。
「やっぱ顔も性格もイケメンの転校生は漫画だけだったね」
蛍「まあね〜。でもああいうのもかっこいいけどね」
「なに、もう好きになったの？」
蛍は首を振る。
蛍「まさか！私好きな人いるし」
「ふうん･･････え！？」
蛍がえへっと笑う。
「ちょっと何それ。聞いてないんですけど！」
蛍「言ってないもーん」
この時、私は知らなかった。
中島くんの転校してきた意味と
あの冷たい目の奥に隠された想いを。
続く
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作者名：優姫 | 作成日時：2018年11月14日 20時
