＊ 求める色 ページ28
〈智side〉
俺の手には
色鉛筆を筆箱に戻す力も残っていなくて
机にバラバラに散らばった。
ふうっと息をついたとき、そこから息が
吸えないことに気がついた。
あれ？息ってどうやって吸うんだっけ。
徐々に苦しくなって、焦りを感じるとともに
ついに来たのかと悟った。
苦しさから、手に取ったナースコールだったけど
この病院にも迷惑かけたなー
最期くらい迷惑かけたくないなーと
押そうとした手を離した。
なのにタイミング良くなのか、悪くなのか
先生が入って来て見つかった。
苦しさの中で、ふと浮かんだみんなの顔。
「せ、んせ……ありがと、みんなに……」
あー、最期にみんなに会いたかったな。
ありがとうって面と向かって言いたかった。
でもみんなはあと1日香川にいるからそれは無理。
立てていたベッドの背を平らにされつつ
自分の声も聞こえないけどなんとか先生に
ありがとうと伝えてほしいと言えた。
目も霞んで見えなくなってきてて
でも白いだけの天井が見えるのは嫌で色を探した。
窓の外は昨日の夜から黒い雲が覆って
雨も降っている。
視線を少しずらしてみると探し求めた色。
今度は欲を出して動きもしない手を
その色に向かって伸ばそうとしてみる。
ベッドの外に少しだけ出ただけで届くわけもなく
手は見苦しいくらい宙を切る。
その時手に感じた温かさ。
温度だけじゃない、心から求めた温もり。
「ただいま、智くん。」
聞こえにくかった耳にクリアに聞こえた声。
見えなかった目には会いたかった人達の姿。
そう、そこにはみんながいた。
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花蓮(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます。Nさんの作品見させていただきました。今後も引き続き覗かせていただきたいと思います。お互い作者としても頑張りましょうね^ ^ (2017年3月25日 17時) (
レス) id: d12f842759 (このIDを非表示/違反報告)
N(プロフ) - 面白くて続きがすごく楽しみです！あ、嵐とは関係ありませんけど是非、私の作品もお願いします。駄作ですけど、良ければ。 (2017年3月18日 22時) (レス) id: 9d2fff06b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花蓮 | 作成日時：2017年2月1日 22時
