瀬見先生は重度の世話焼き【瀬見 英太】

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誰も見ずに瀬見先生のいる方へ真っ直ぐ歩く

目の前で止まると驚いた顔をしていた

「先生、ちょっといいですか」

先生はちらっと部員を見てから

「うん、今は試合形式だから平気」

と答えて私を連れて体育館の外に出た

「どうした霜鳥？」

「これ、先生の学生時代の写真ですよね」

「おー、懐かしいなあ…って何でお前がこれ持ってんだ？」

こてん、と首を傾げる先生

あざとさ極めてますね

本人は無自覚なんだろうけど

「先生に頼まれて行った資料室にありました」

「そんな棘ある言い方すんなよ…」

本当のことだし

「先生ってバレー部だったんですね」

「あれ？言ってなかったっけ？」

言ってないです、一度も

まあバレー部顧問だから薄々そんな気はしてたけど

教え方も上手いって有名だから尚更

「先生ポジションどこだったんですか」

「なんか今日質問ぜめだな…セッターだった」

3年のときはレギュラーじゃなかったけどな、と付け加えて言う

少し寂しそうな横顔に胸がぎゅっとなった

悔しくて当然だ、レギュラーじゃなかったのなら

嫌でもあの子のことを思い出してしまう

私を嫌い、後輩の悪口を言っていたあの子

あの子も控えのセッターだった

俯いていると先生の手が私の頰に触れた

「ってかお前、頰腫れてねえか？少し赤くなってる」

顔を覗き込むように見られ

整った顔がドアップになる

「なっ、なんですか急に…！」

手を払いのけるとその手を掴まれ真顔で言われる

「なあ、霜鳥に聞きたいことあるんだけど」

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