瀬見先生は重度の世話焼き【瀬見 英太】

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聞いてらんない

ごめんなさい先生、もう無理です、耐えられません

「帰らせてください」

「待てって」

なんでこんな回りくどく言うの？

名前だけでいい、どこが好きかなんて知りたくない

「俺ほんとに好きなんだよ、Aのこと」

照れ臭そうに笑う先生の顔

その瞳に映る驚いた表情の私

時が一瞬止まって、

しばらくして動き出した

「Aって…え？あ…違う人？え、」

「俺がずっと好きなのは、霜鳥 Aだけ」

ふっと笑いかけられ私の涙が頰を伝った

「はっ、何言ってるんですか正気ですか？こんな口悪くて可愛げもない愛想もないクソみたいな女ですよ、どこがいいんですか」

こんなときでも私の口は正直になれない

「泣きながら怒るやつがどこにいるんだよ」

呆れたように笑って私の目尻を指でなぞった

くすぐったくて濡れた睫毛を伏せる

「ほんとに困りますそういうの！私たち教師と生徒なんですよ？分かってますか？」

「その教師と生徒って関係から恋人になれない？」

「ばっ、ば、ばーかばかばかばーか！！」

「へ？」

飛んだ馬鹿者だ

なんで、なんでこんなやつのこと

「好きなんだろ」

「…え！それってまさか「煩い！」…ハイ」

言いかけた先生の言葉を遮る

「卒業！私が卒業するまでは教師と生徒で…卒業したらまあ…好きにしてください」

目を逸らしながら言い切ると、急に視界が真っ暗になる

数秒後、やっと先生に抱きしめられたと気づいた

「ちょ、なにして…」

「なあ霜鳥」

「なんですか」

「俺ね、今幸せ」

「そうですか」

私も、幸せですよ

自覚してしまった以上、この恋心は無くせそうにない

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