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定時 ページ11
｢ふぅ。｣
パソコンのキーボードから手を離し、背もたれに背中を押し付けるようにして体を伸ばす。
ちらっと腕時計を見るともう定時。
隣で知念が椅子から立ち上がる音がした。
｢大貴仕事終わった？｣
｢おう。帰ろうぜ｣
パソコンの電源を落とし、帰る用意をすませると｢お先に失礼しまーす｣と言いながら部所を出る。
｢今日飲みに行かね？｣
｢いいよ。大貴のおごりねっ｣
｢はいはい｣
どの店に行こうかなって考えていると後ろから衝撃がきた。
｢わっ｣
振り向かなくても分かった。
こんなことする人、こいつ以外にいない。
｢俺も俺もっ、飲みに行きた〜い｣
｢あっ、伊野尾さん｣
隣で知念が言う。
｢ね〜ね〜いい？俺も行きたい〜｣
そう言いながら伊野尾は俺に腕を巻き付けるようにして後ろから抱きしめる。
｢…え、ん、…まぁ。｣
てかなんなんだよこの腕。
俺は返事をうやむやにして返して知念を横目で見ると
｢僕はいいですよ…あっ、じゃあ僕今日やめときましょうか？2人で…｣
｢えっ、い〜の？？｣
｢はいっもちろん、…大貴、また今度おごってね〜｣
知念は俺にニヤニヤした視線を向け、帰っていってしまった。
｢じゃっ、俺たちも行きますか〜｣
伊野尾は俺の手を握って歩き出した。
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作者名：姫葵 | 作成日時：2020年5月2日 10時
