物音. ページ9
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「すごい!とっても美味しそうですっ」
『本当?ふふっ、ありがとう』
出来上がった料理を見て、満面の笑みを浮かべるアオイちゃん。
毎日患者さんのご飯を作る彼女には劣ると思うけど…我ながら良く出来た方ではないかな、うん。
「あとは私がやりますので、Aさんは水柱様の所へ行ってあげて下さい」
『え、』
「しのぶ様に無理やり注射されて、拗ねてらっしゃると思いますよ?」
そう言われると…むっと口を尖らせる義勇さんの姿が容易に想像できる。早く迎えに行かないと、明日の朝まで機嫌を損ねたままかもしれない。
『そうね…お言葉に甘えて』
「はいっ、今日は本当にありがとうございました!」
割烹着を返して、義勇さんが待っているであろう部屋へ向かう。
途中、一番大きな病室の前を通れば多くの人が寝台で眠っていて。本当に大変な状況なんだなぁ…と改めて思い知らされる。
あとでしのぶさんに手伝える事がないか聞いてみようか、なんて考えながら歩いていると。
『…ん?』
通り過ぎた部屋から、カタカタと音が聞こえて。
『病室、なのかな』
しばらく部屋の前に立っていると、やっぱり何かの音がする。
もしかして……動けない患者さんが誰かを呼んでいるのかもしれない。
そう思いながら、躊躇いなく扉に手を伸ばした。
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作者名:Hana :*・ | 作成日時:2020年7月9日 17時