水引の恋【冨岡義勇】 (ページ44)

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過去に迫る. ページ44

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「そうか、Aの家は請宿であったか」

『はい、祖父の代から続いていたんです』

辺りが薄暗くなった頃。
鱗滝さんともすっかり打ち解けて。
家族の事や生まれ故郷の話をしながら、山で採れたという立派な山菜を水で洗っていく。

…というのも。
急ぎの用がないならゆっくりしていけばいい、なんてご厚意に甘えて、今日は鱗滝さんのお家に泊まらせて頂くことになったのだ。

ちなみに今は鱗滝さんと二人きり。
義勇さんはつい先程、少し出て来ますと言って何処かへ行ってしまった。

『あの、鱗滝さん』

「どうした」

『鱗滝さんは義勇さんの幼い頃をご存知なんですよね…？その、どんな子供だったんでしょうか』

そんな私の問いかけに、鱗滝さんは少し間を置いて口を開く。まるで、全てを察したように。

「…義勇は、話していないのだな」

『いつか、本人に聞こうと思ってました。
でも…このままじゃ、義勇さんがどんどん手の届かない所へ行ってしまう気がして』

ぴちゃん、と水が落ちる音が響く。

鱗滝さんは鍋を用意していた手を止めて、囲炉裏の前に静かに腰を下ろす。
そして…隣に座るよう、私を促した。

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ここで大正コソコソ噂話！

祖父の代から続いていた "請宿(うけやど)" とは、奉公人の身元を引き受けて奉公先をお世話する仕事のことなんです。
わかりやすく言えば「職業案内所」のようなものでしょうか。

以上、香月Aがお伝えしました！

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