錦玉. ページ40
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「この
『やっぱり蜜璃さんのおすすめは間違いないですね』
「えぇ、本当に」
久しぶりにしのぶさんと予定が合って。
街で買い物をした帰りに、蜜璃さんに教えて頂いた甘味処でお茶をしていた。
お皿の上にはきらきらと透き通る錦玉。
羊羹でできた色鮮やかな金魚が寒天の中を泳いでいる様が涼しげで美しい。
今度は義勇さんと一緒に食べたいなぁ…なんて。
口の中に広がる甘さに舌鼓を打ちながら、そんな事をふと思ったり。
「そういえば、冨岡さんとはその後如何ですか?」
『はいっ…その、お陰様で』
「あらあら、ふふっ。
ようやく引っ付きましたか〜」
長かったですねぇ、と。
口元に手を添えながら笑うしのぶさんは……諸々、いつから気付いていたんだろうか。
寒天をごくりと飲み込んで、恐る恐る聞いてみた。
『そんなに、分かりやすかったですかね?』
「えぇ、特に冨岡さんが」
『…え、』
「あんなの誰が見ても分かりますよ。
Aさんと私とでは、まるで態度が違いますから」
そう話すしのぶさんは…。
ぶすぶすと黒文字を錦玉に突き刺していた。
いつもの、あの笑顔で。
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作者名:Hana :*・ | 作成日時:2020年7月9日 17時