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いつか. ページ36

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( 炭治郎side )




「Aさんは…その、冨岡さんのどんな所を好きになったんですか?」


『えっ』



しのぶさんに呼ばれて善逸と伊之助が病室を出たあと。軽く深呼吸をして、思い切って聞いてみた。

寝台の横に座るAさんは、俯きながら頬を赤く染めていて。

もし、いつか。
禰豆子が誰かを想う時が来たら。こんな表情をするのだろうか…なんて、未来(さき)の事を考えては何とも言えない感情になる。




『炭治郎くんは、さ。
義勇さんの事どんな風に思ってる?』


「それは…男らしくて、かっこよくて。
同門の弟子として、とても尊敬しています!」




そう言うと、Aさんは小さく笑って。
窓の外に広がる大きな入道雲へ目をやった。




『意外と、可愛い所もあるんだよ』


「…え?」


『ご飯食べてる時の顔とか、寝顔とか。
あとね、すっごく優しい顔で笑うの』


「冨岡さん…笑ったりするんですね」


『うん、大笑いとかじゃないけどね。
ああ見えて、本当は表情豊かな人なんだよ』




そう話すAさんからは、慈愛に満ちた匂いがして。冨岡さんの事を心の底から慕っているんだということが窺い知れる。

それに…あの冨岡さんがAさんの前では表情豊かになるのだから。冨岡さんにとってAさんは、きっと心を許せる数少ない存在なのだろうと思った。




もっともっと強くなって。
冨岡さんにも認めてもらえるようになって。
いつか、Aさんの言う "優しい顔" で笑う冨岡さんを見れる日が来たらいいなぁ…なんて。

Aさんの視線の先にある雲を眺めながら、そんな事を考えていた。




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作者名:Hana :*・ | 作成日時:2020年7月9日 17時

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