赤面. ページ35
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ひらひらと舞う蝶の間をすり抜けて。
いつものように包帯や塗り薬を貰いに来た日のこと。
しのぶさんから頂いた紙袋を手に廊下を歩いていると、病室から賑やかな声が聞こえて。
そっと覗いてみれば、久しぶりに見る炭治郎くんたちの姿があった。
「あ、Aさん!」
「Aさぁぁぁん!
俺に会いに来てくれたんだねぇ、そうだよね!」
「うるせぇぞ紋逸」
『久しぶりだね。その…怪我してるみたいだけど、元気そうで良かった』
そう言いながら三人の顔を順に見比べる。
頭に包帯が巻かれていたり、顔中に絆創膏が貼られていたり、足を固定されていたり…。
かなりボロボロな見た目だけど、いつもと変わらない様子に少しばかりほっとする。
そんな私を見て、炭治郎くんは何やら考え込むように顎に手を当てて。
「Aさん、もしかして…」
『ん?』
「冨岡さんと、その…こ、恋仲になったんですか?」
『…え、』
突然すぎる問いかけに、思わず固まってしまう。
そして…あまりにも的確すぎるその内容に、ぽっと顔が熱くなる感じがした。
…そういえば、炭治郎くんは鼻が利くんだったっけ。
『そ、そんなに変な匂いした…?』
「いえ!そうじゃなくて!
その、とても幸せそうな匂いがしたのでっ」
『そっか…ふふっ、やっぱり炭治郎くんに隠し事は出来ないね』
「おい権八郎、恋仲って何だ」
「お互いに恋をしてる間柄って意味だよ。
つまり、冨岡さんとAさんは相思相愛って事だ」
「がはは!俺様の言った通りじゃねぇか!
俺様は最初からこいつが半々羽織の女だって分かってたぜ!!」
ふふんと鼻を鳴らす伊之助くんに、何だか急に恥ずかしくなって。すっかり赤くなった頬を両手で挟めば、今度は善逸くんが顔を赤くする番だった。
「いやぁぁぁ!え、嘘でしょ!!確かに幸せそうな音したけどさぁ!いくら何でもそりゃないよぉぉ!」
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作者名:Hana :*・ | 作成日時:2020年7月9日 17時