検索窓
今日:16 hit、昨日:6 hit、合計:190,860 hit

梅おにぎり. ページ27

.
( 冨岡side )




「もしもーし、冨岡さん?聞こえてますか?」


「聞こえている」


「なら返事の一つぐらいすればどうです?
そんなだからみんなに嫌われるんですよ」


「…俺は嫌われてない」




任務地へ向かう列車に揺られながら。
Aが持たせてくれた握り飯を手に窓の外を見ていれば、正面に座る胡蝶に足を蹴られた。

那谷蜘蛛山に引き続き、何故こうも胡蝶との合同任務が多いのだろう。




「そうですねぇ、少なくともAさんには嫌われていないようですし」


「…何が言いたい」




屋敷を出る時、Aは二人で漬けた梅干しを握り飯に入れたのだと、嬉しそうに話していた。
そんな彼女の顔を思い出しながら食べると…いつも以上に、特別なものに感じられる。

此方に戻って来たら、礼に土産でも買って帰るか…。




「器量好し、お料理も上手。
世の男性が放っておくわけありません」


「あぁ…出来た娘だ、Aは」


「でも、鬼の首を斬る私たちとは違う世界を生きています。何処にでもいるような…普通のお嬢さんです」




いつまでも傍にいると思ったら大間違いですよ、と。
胡蝶はまるで全て見透しているような口ぶりで話す。




「普通のお嬢さん、か」


「出会いなんて色んな所に転がってますからね〜。
誰かに取られる前に、伝えたらどうですか?」




どこか含みのある笑顔でそう話す胡蝶は、再び俺の脛をつま先で小突く。

特に返事をするわけでもなく。
流れる景色に視線を戻せば、真っ白な入道雲が沸き立つように浮かんでいた。




.

人攫い.→←出立.



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (222 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
484人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Hana :*・ | 作成日時:2020年7月9日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。