検索窓
今日:8 hit、昨日:6 hit、合計:190,852 hit

鬼のいない世界. ページ18

.




結局、蝶屋敷を出る直前まで善逸くんからのお誘いを受け続けて。帰ってきた頃にはどっと疲れが溜まっていた。

上手く断る術を考えないと…なんて思いながら、少し薄暗くなった台所で、庭で獲れた梅の(へた)を取っていく。
竹ざるの上には程よく熟した梅が沢山積まれていて。その隣では寛三郎が体を丸めて眠っていた。

そんな姿を微笑ましく見ていると、突然背後から声をかけられて。




「…梅、今年は何にするんだ」


『わ!…吃驚した、』


「すまない。楽しそうにしていたから、邪魔をしてはいけないと」




ぱっと振り向けば、どこか嬉しそうな表情の義勇さんが包みを片手に立っていた。
今日は夜の任務がない代わりに、街へ聞き込みに行っていたそうで…。
隊服を着ていない姿は少し新鮮だった。




『今年は梅干しを作ろうと思って。
寛三郎も収穫を手伝ってくれたんですよ』


「そうか…寛三郎、Aに懐いているからな」




そう言いながら、義勇さんは寛三郎の体をそっと撫でる。




『義勇さん、先にお風呂入られますか?
これが終わったらすぐご飯の用意しますから』


「いや、俺も手伝おう。
…何をすればいいだろうか」


『それじゃあ、一緒に蔕を取ってもらってもいいですか?竹串を使うと簡単に取れるので』


「承知した」




二人肩を並べて、他愛もない話をしながら。
静かに過ぎていく時間はとても温かかった。

もし、この世に鬼というものが存在しなかったら…。
こんな時間が当たり前になるんじゃないかと、錯覚してしまうくらい。




『ところで義勇さん、その包みは?』


「あぁ、柏餅を買ってきた」


『ほんとですか?
嬉しい、柏餅大好きですっ』




.

二度あることは三度ある.→←我妻善逸.



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (222 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
484人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Hana :*・ | 作成日時:2020年7月9日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。