我妻善逸. ページ17
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「Aさんっ、お久しぶりです!」
『久しぶりだね、炭治郎くん。元気そうでよかった』
薬を貰いに蝶屋敷へ訪れた日のこと。
外出中のしのぶさんが帰って来るのを待つ間に病室を覗いてみれば、炭治郎くんの姿を見つけて。
寝台の傍にある椅子を引っ張り出していると、突然とんでもない叫び声が部屋に響いた。
「いやぁぁぁ!!だぁれこの人!
この綺麗なお姉さんだぁれ!!??」
「やめないか善逸、Aさんが吃驚してるだろ!」
「Aさん!?
素敵なお名前ですねぇ〜!んふ、んふふっ」
叫び声の主は…隣の寝台にいた、金髪の子だった。
"善逸" と呼ばれたその子は絵に描いたように鼻の下を伸ばしていて。幸せそうに笑いながら、体をくねくね動かしている。
そんな彼を前に、ただ笑うことしか出来なくて…。
「Aさ〜ん、今度お茶でも行きませんか?」
『あ、いや…えっと』
「俺の事はぁ、善逸って呼んでくださいね〜」
『分かった……善逸くん、ね』
よろしく、と伝えると善逸くんは枕を抱き締めながら顔を真っ赤にさせていて。
よく分からないけど…きっと、女の子が好きな子なんだろうなぁ、なんて勝手に推測してみたり。
そんな事を考えていると、事態を見守っていた炭治郎くんが「すみません」と口を開いて。
「本当は凄くいい奴なんです。初めて会った時も、禰豆子の事を守ってくれて…」
『そっか…ふふっ、優しい子なんだね』
「は、はい!俺の自慢の仲間です!」
身振り手振りで、一生懸命に善逸くんの話をしてくれる炭治郎くんを見て、思わずくすっと笑ってしまう。
そんな私たちの隣で……善逸くんは、未だ枕を抱き締めていたのであった。
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作者名:Hana :*・ | 作成日時:2020年7月9日 17時