目覚め. ページ16
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ちゅんちゅん、と鳥の鳴く声で目を覚ます。
重い瞼をこじ開け、焦点を合わせると…。
『……ん?』
それはそれは綺麗な鎖骨が目の前にあって。
恐る恐る上を見ると…気持ちよさそうに寝息を立てる義勇さんの顔(超至近距離)が。
開いた口が塞がらない、とはまさにこの事。
暴れる心臓をどうにか落ち着かせるため、とりあえず深呼吸をしてみる。
…何があった?
たしか、昨日の夜。義勇さんの前で大泣きしてしまって…。頭を撫でてくれる手が温かくて、つい安心してしまって…。
その、安心してからの記憶が全く無い。
……一体、何があった?
『あ、あの…義勇さん、』
「…寛三郎、まだ朝だ……もう少し」
少し掠れた声で、完全に寝惚けながら。
私の背に回している手に力を込めた。
その拍子に、先程より体と体の距離が近くなって。
『も、無理…っ』
ぼふん、なんて効果音がついても可笑しくないくらい、顔が赤くなるのが分かる。
息を殺して、音を立てないよう義勇さんの腕の中からやっとの思いで抜け出して…。
熱を帯びた頬に手を当てながら、一目散に部屋から逃げ出した。
「…やってしまった」
義勇さんがばっちり目を覚ましていたとも知らずに。
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作者名:Hana :*・ | 作成日時:2020年7月9日 17時