◇３１ ページ31
･
紫耀と別れて、廉くんともああいう事があって。
私のお先は真っ暗闇。
足元が見えないせいか前に進むことすら出来ない、そんな状況だった。
こんなモヤっと晴れない気持ちを引きずったまま、
いつものように学校に来て時間は何も解決してくれない。
いつものテラスでいつものように昼食の時間を過ごす。
自分の分しか作らなくなった手作り弁当。
それが今日はやけに地味で･･
やっぱり誰かの為に作るお弁当とは力の入り方が違う。
改めて自分の性格を知る瞬間だった。
黙々と一人で食していれば、チラッと見つけてしまった彼の姿。
目が合わないように下を向いていたけど、こちらに向かってきている事は見なくても分かる。
逃げるなんて、一番駄目な方法だ。
だからといって来るのをジッと構えていられるメンタルもない。
廉「あの、･･A」
いつもなら気を遣うこともなく堂々と私の名前を呼ぶくせに
廉「･･座ってもええ？」
いちいち私の表情を伺ってくる彼が不自然すぎて慣れない。
『･･うん、いいよ』
それも全部、私の現状が作り出してしまったこと。
どうしてこう、いろんな事が頭の中で交差してしまうのか、。
ひとつひとつを整理して解決していきたいのに、私にはそんなに器用な事が出来ない。
ほんと、疲れるだけ。
自分から話し掛けるなんて出来るわけがなくて、
彼の表情は見ないままに残りのおかずを平らげた。
廉「あの･･この前は、ほんまにごめんなさい」
頭を下げる君は私の知っている生意気な年下ではなかった。
『･･うん』
頷くことしか出来ない私はまた彼を困らせてしまう。
廉「ちゃんと、話しよ、？」
こうやって自立してくもんなのかな、。
成長してく彼にいつの日か少しの寂しさを覚えていた。
弟みたいに少年だった彼はもう姿を変えていて･･
私に現実を突き付けてくる。
廉「俺はAがずっと好き、･･あん時からずっと」
どうして私なんかを？
時々疑っちゃうほど私には自信がなかった。
あの容姿だったら学校でもモテモテだったろうに。
私が家庭教師を辞めたあとも、出会いは沢山あったはずだ。
･･なのに何でそんな一途にいられるの？
君の真っ直ぐを私は素直に受け止められなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3459人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななみ(プロフ) - 廉君と両思いになってよかったです。まるで映画みたいにドキドキ、ハラハラしながら、焦ったくなりながら、最後には温かい気持ちになりました。素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございます。他の作品も読ませていただきます。 (2019年11月11日 1時) (
レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - muheさんのお話、Twitterやインスタでも読ませて頂いてます！このお話は特に大好きなお話なので続編希望です！これからも応援してます！ (2019年7月7日 13時) (レス) id: 41431b5220 (このIDを非表示/違反報告)
みなゆか(プロフ) - 続編だしてほしいです！！ (2019年5月29日 2時) (レス) id: f99e6b0772 (このIDを非表示/違反報告)
おむ(プロフ) - 一気に読んでしまいました(>_<)一途な廉くんが素敵で素敵で、すごく感動してきゅんきゅんしました。このお話ほんと大好きです！！ありがとうございます！ (2018年8月26日 14時) (レス) id: 45e922be8f (このIDを非表示/違反報告)
ちあ(プロフ) - はじめまして。完結おめでとうございます。読み始めたのは最近なのですが、毎回更新を楽しみにしていました。とても感動しました。何度も泣いてしまったりして...こんな素敵なお話をありがとうございます。 (2018年8月16日 13時) (レス) id: f185f740ad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：muhe
| 作成日時：2018年7月16日 0時
