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廉「なぁ」
『え?あ・・なに?』
彼に聞き返せば溜め息をつかれた。
廉「デート中に他の男の事考えとるとか、ほんま罰あたるで」
着ていたジャケットに手を突っ込んだ彼は、私よりも少し前を行く。
怒らせてしまっただろうか。
私は誰だって、その人の機嫌を伺いながら生きている感じがした。
自分より相手のため。
相手より、自分の情緒のため・・
なんだか思考回路にヒビが入りそうだった。
スタスタ歩いていく目の前の彼に必死に追いつこうとする。
『廉くん待ってッ』
すると、急に立ち止まった廉くんはポケットから何かを取り出して・・
廉「ん」
私の目の前に出してきた。
『うわぁぁあああ!?』
思わず大きい声で叫んでしまった。
周りの目を気にして口元に手を添える。
だが、もう時遅しで・・
廉「はははははっ、そんなに驚くと思わんかったわ!!」
爆笑している彼の手を見れば・・
それはオモチャの虫だった。
『なんでそんな物持ってんの?』
彼の悪戯心になかなか理解が出来ず、少しの苛立ちをそのままに声にした。
すると彼は答える。
廉「構ってくれへんから。Aが悪いんやでっ」
私の腕をグイッと少し強引に引いた彼、。
自然と距離は近くなる。
香水混じりだが、懐かしさを感じた廉くんの匂い。
中身もそうだけど、目に見えないものは何も、変わっていなくてあの時のままで・・
時代があの頃に戻るかのように錯覚させる。
廉「こうやってるとホンマに付き合ってるみたいやろっ?」
その顔で余裕にそんなことを言われると、
やっぱり誰にでも言ってるんじゃないかって、疑いをかけてしまうのはしょうがない事だ。
『廉くん、』
廉「ん?」
『なんか・・読めなくて、怖い』
戸惑うこと無く言えたのは、この不安を彼はすぐになくしてくれると、
根拠はないがそう思ったから。
廉「読めないのはお互い様やろ?」
『え?』
廉「あんな急に辞められると思わんかったわ」
彼が出してきたのは昔の話、。
時間が経つと、不便に思うことがあれば、
逆に、便利に思うこともある。
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ななみ(プロフ) - 廉君と両思いになってよかったです。まるで映画みたいにドキドキ、ハラハラしながら、焦ったくなりながら、最後には温かい気持ちになりました。素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございます。他の作品も読ませていただきます。 (2019年11月11日 1時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - muheさんのお話、Twitterやインスタでも読ませて頂いてます!このお話は特に大好きなお話なので続編希望です!これからも応援してます! (2019年7月7日 13時) (レス) id: 41431b5220 (このIDを非表示/違反報告)
みなゆか(プロフ) - 続編だしてほしいです!! (2019年5月29日 2時) (レス) id: f99e6b0772 (このIDを非表示/違反報告)
おむ(プロフ) - 一気に読んでしまいました(>_<)一途な廉くんが素敵で素敵で、すごく感動してきゅんきゅんしました。このお話ほんと大好きです!!ありがとうございます! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 45e922be8f (このIDを非表示/違反報告)
ちあ(プロフ) - はじめまして。完結おめでとうございます。読み始めたのは最近なのですが、毎回更新を楽しみにしていました。とても感動しました。何度も泣いてしまったりして...こんな素敵なお話をありがとうございます。 (2018年8月16日 13時) (レス) id: f185f740ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年7月16日 0時