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彼の真っ直ぐな目ほど、恐ろしいものはない。
岸「謝るんだったらッ・・俺に惚れてよ」
彼の瞳に映ったわたしは、とても残酷なヒロインで・・
というより、ヒロインと言えるほどの華麗さは最初からなかった。
岸くんとの距離がだんだんと零に近づく。
このまま、待っていたら物事は何か上手く変わっていた、?
選択がいくつかあると、どうしてももう片方に気がいってしまうわけで・・
でも、それはどっちにしても同じだったと思う。
だから私は・・
『嫌ッ!!』
あなたを拒んだ。
岸くんの腕を振り払い、ある程度の距離をつくる。
もう、逃げたい・・それだけだった。
謝って、嫌われたんならそれはとても簡単な方法だっただろうに・・
私はこれ以上、岸くんに対して罪悪感を持ち続けるのは疲れてしまったのだ。
『別れよ』
岸「え」
なかった事にしたかった。
そんな事できないし、岸くんを傷つけたことは事実だけど
それでもどこかで報われようと逃げたかったのかもしれない。
岸くんと、面と向き合えない。
彼がわたしに真正面からぶつかってきてくれてるのに・・
わたしはそれを避けてばかりだ。
『岸くんにずっと辛い思いをさせてきてッ本当にすみませんでしたッ・・だから、だからッ・・あの子と幸せになってください』
吐き捨てたその言葉もはんぶんは本心で、もう半分は嘘だった。
あの子となんか、幸せにならないでよ・・
人を不幸にさせといて私は貪欲なわけで
岸「おいッAッ待てって!!」
教室を出ようとしたら、岸くんに腕を掴まれてしまった。
なんで、最悪なことしたのに・・
君はそうやって私を引き止めるの、?
『離してッこれ以上わたしを悩ませないでよッ』
私だって辛いんだ。
目に見える悲しみほど儚いものはない。
その助けを求めるような、苦しそうな顔。
それがもっと私の首を絞めるんだ。
『好きになってくれて・・ありがとう』
わたしは最後に、岸くんの顔を見ることができなかった。
見てしまったら気持ちが揺らぐ・・決断に迷いが生まれる。
『・・お幸せに』
わたしは必死だったのだ。
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まい - 岸くん。。。きゅんきゅんでした!素敵なお話ありがとうございます!! (2023年1月3日 0時) (レス) @page31 id: e5435e7bdd (このIDを非表示/違反報告)
すかい - とても素敵な作品でした。ありがとうございました^ - ^ (2020年3月14日 21時) (レス) id: c9cd880fe4 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 切ないながらも、ハッピーエンドに繋がって良かったですね。付き合った後のストーリーも読んでみたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月1日 22時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
えり - とっても面白くて一気に読んでしまいました。ハッピーエンドで良かったです。 (2019年2月24日 23時) (レス) id: d711019fff (このIDを非表示/違反報告)
bobrobert0830(プロフ) - 申し訳ありません。呼び捨てで投稿しちゃいました。muhe様の作品を楽しみにしております。 (2018年11月17日 23時) (レス) id: 79705ce3c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年6月11日 21時