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岸くんと向き合うことを恐れた私は、やっぱり逃げてしまった。
『なにそれっ、やっぱりあるんじゃんっ!』
笑って誤魔化そうとするわたしに君はいつものように優しくはなかった。
岸「じゃぁキスしてい?」
『え・・』
一瞬にして時が静まり返る。
岸くんにはあまりない淡々とものをいう感じ・・
声色からして違かったよ。
彼の目がわたしを捉えると、それはなかなか私を離してはくれなかった。
『・・なんで、そんな事聞くの?』
キスというのは、付き合っていれば自然なもの。
それをわざわざ聞いてくるあたり、確認してきたあたりにいつも以上の焦りを感じる。
すると君の表情はゆるっと力を抜いた。
岸「冗談だって!!冗談っ」
いつものようにおちゃらけて見せた君だけど、演技をしている・・と、なんとなく悟ってしまった。
岸「真に受けんなって!!」
岸くん、あなたは私以上に罪深いのかもしれない。
わたしの迷い、戸惑い。
それを君に全て見透かされている気がしていたのだ。
いつも優しい彼だから、
いつの間にかその優しさに嫌になるほど甘えていて・・
でも、甘えた分だけ、岸くんを傷付けてしまうことにこの頃の私は理解がなかったのだ。
彼はこんなわたしの気持ちを、どう受け止めようとしてるのか・・
どう理解するのだろうか。
彼はわたしを許してくれるのだろうか。
頭の中をぐるぐる巡らせて、思いつくのは岸くんがわたしの事をどう思うのかってこと。
今更になってそんな事を気にしている余裕があるなら、最初から告白しなければ良かった話・・
だけどなんでだろう。
" 別れよう "の4文字を君に伝えるには何か欲張りな私がいたのだ。
このまま、岸くんの彼女でもいいのかもしれない。
好きでもないのにそう思うのは、やっぱりわたしの自分勝手で。
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まい - 岸くん。。。きゅんきゅんでした!素敵なお話ありがとうございます!! (2023年1月3日 0時) (レス) @page31 id: e5435e7bdd (このIDを非表示/違反報告)
すかい - とても素敵な作品でした。ありがとうございました^ - ^ (2020年3月14日 21時) (レス) id: c9cd880fe4 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 切ないながらも、ハッピーエンドに繋がって良かったですね。付き合った後のストーリーも読んでみたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月1日 22時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
えり - とっても面白くて一気に読んでしまいました。ハッピーエンドで良かったです。 (2019年2月24日 23時) (レス) id: d711019fff (このIDを非表示/違反報告)
bobrobert0830(プロフ) - 申し訳ありません。呼び捨てで投稿しちゃいました。muhe様の作品を楽しみにしております。 (2018年11月17日 23時) (レス) id: 79705ce3c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年6月11日 21時