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見なくてもわかる、君の声。
そっと、私の背中に何か羽織りのようなものの感覚がして
それを見れば、岸くんは自分の上着を私の肩に掛けてくれていた。
少しブカブカで、洗剤の匂いがする。
それだけで私の心はやすらぐわけで
岸「立てる?」
君の頼もしい大きな手は、わたしの肩を優しく支えてくれて、立たせてくれた。
岸「保健室連れてくよ」
『え、ちょっ・・』
ひとりで行ける、。そう言いたかったのに
君は私の考えを悟ったのか
まさに私の心をズカズカ読み取っていく彼、。
保健室につけば真っ白なベッドが3つと、アルコールの独特な匂い。
あまりこの場へと足を踏み入れる事はないわけで
怪我をしたわけでもないのに、なんだか自分の弱さ加減に腹が立ってきた。
岸「寒いんでしょ?とりあえず俺の上着貸すよ」
なんで・・なんで嫌になるほど、私に関わりを持とうとしてくれるのだろうか。
『・・うん、ありがとう』
それ以上の言葉を探しても出てくるはずもない。
私はカーテンを締めて、彼の上着に手を入れた。
岸「まぁジャージだったから良かったけど、制服だったらシャレになんねぇって」
カーテンという薄い布越しに聞こえてくる君の声は、何か不機嫌な感じがして・・
ジャージを完全に着終えたあと、私は彼に問いかけた。
『どうして、?』
すると静かに響く彼の足音。
こちらに向かってきていて、それは見なくても分かる。
−−−−シャッッツツツ!!
勢いよく開けられたカーテン、。
そこにはまた苦しそうな表情をする岸くんがいた。
岸「お前、馬鹿なの?」
『え』
岸「制服の方が透けんだろッ、!!」
すると君は私の腕を強引に引っ張り・・
『ちょ、・・』
私はほんの一瞬で、彼の胸の中におさまってしまった。
『岸、くん』
岸「悪りぃ、・・もうこんな事しないから・・許して」
ギュッと力の入る彼にどうしても心臓はうるさくなるばかり・・
岸「自分のじゃねぇの分かってても、気になってしょうがねぇんだよッ」
岸くんの手は少し震えていた、。
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まい - 岸くん。。。きゅんきゅんでした!素敵なお話ありがとうございます!! (2023年1月3日 0時) (レス) @page31 id: e5435e7bdd (このIDを非表示/違反報告)
すかい - とても素敵な作品でした。ありがとうございました^ - ^ (2020年3月14日 21時) (レス) id: c9cd880fe4 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 切ないながらも、ハッピーエンドに繋がって良かったですね。付き合った後のストーリーも読んでみたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月1日 22時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
えり - とっても面白くて一気に読んでしまいました。ハッピーエンドで良かったです。 (2019年2月24日 23時) (レス) id: d711019fff (このIDを非表示/違反報告)
bobrobert0830(プロフ) - 申し訳ありません。呼び捨てで投稿しちゃいました。muhe様の作品を楽しみにしております。 (2018年11月17日 23時) (レス) id: 79705ce3c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年6月11日 21時