子犬の廉くん ~Ren.Nagase~

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急いで家に帰ってきたけど･･







この戸を開けるのが何よりも怖い、。








でもここで、ずっと待ってるわけにもいかず








わたしは意を決してドアノブに手を掛けた。









−−−−ガチャッ









ドアを開けた瞬間から目に入ってきたのは･･








廉の姿だった。









『た、ただいま』








一応そう言うけど、もう空気でわかる。









廉「遅い、何時やと思っとるん？」









ご立腹だ。









『ご、ごめんごめん』








申し訳なさそうに謝っては見るけど、君には通用しないらしい。









廉「早めに帰ってくるって言ったやんっっ！！」








『うん、･･そうなんだけど、ちょっと訳あって』








廉「訳あってって何？」








廉は分かりやすいから、どんだけ怒ってるかなんて見てれば分かる。









『え？あ、いや･･えと』









言い訳になっちゃうかな、とか色々考えてたら･･









廉「男の家行ってたんやろ」








『え、』







廉「岸とかいう奴の家に行ってたんやろッ！！」









まさにその通りで･･何も言い返せなかった。








『いや、そうなんだけど、岸くん酔っ払ってて、それで』







廉「そんなん嘘やっ！！」






『嘘じゃないって･･』







でも、今さら理解してくれるはずもなく。








廉「そいつとキスしたんか？」







『は？してないしてないっ』








そういう関係にないため、全力で否定した。







すると廉はわたしの首筋に鼻をつける。








『な、何やってんの？』







廉「Aの匂いちゃうもん」







あ、そっか･･







タクシーの中で、酔ってた岸くんは私の肩にずっと寄っかかってたんだっけ。






勘違いされてもおかしくない、か。







『お酒飲んでたからじゃない？』







とは言ったけど･･







廉「犬の嗅覚なめんなやッ･･」








強気なのに、目は鋭く怒ってるのに･･








廉「･･ほんま、最低ッや」







声はものすごく震えていた。







廉の背中が少し縮こまったように感じる。







また何かを思い出させてしまったのだろうか･･








『廉、ほんとにごめんなさい』







廉「もう知らんっ！！アホ飼い主ッ！！」








すると廉は廊下の端っこに位置する小さな物置部屋に閉じこもってしまった。







『ねぇ廉っ！！開けてっ？、』







だけど君は出てこない。

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