【HQ】婿に来てええですか -2-【宮治】 (ページ22)

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70.好きな人ページ22

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何気に、治くんとこうやって

ゆっくり喋るんって初めてかもしれん。

間延びはせんけど、

流れる時間はのんびりしとって、

どことなく落ち着く。

治「そういや休憩中めちゃくちゃ盛り上がってたな。
何喋ってたん？」

休憩中に喋ってたことと言えば私の昔話。

『んー？多分恋バナぁー…かな？』

言い切るのも恥ずかしくて濁すように疑問符を付けた。

治「Aちゃんの？」

『え？』

治くんが間髪入れずに聞いてくるもんで、

聞き返してもうたけど

『あーどうなんやろ？多分っ』

あの時、皆が私の話に盛り上がってた事を思い出すと、

なんやちょっと、いやかなり恥ずいわ。

治「ふーん…好きな男居るんや」

興味が無さそうにも聞こえるけど、

声に強弱のない喋り口調は治くんっちゃ治くん。

『んー好きって言えるほど相手の事知らんねんなぁ
まあ会いたいなぁって毎日思ってんねんけどさっ、』

私と歳が近いと思うから

普通に今はどっかの高校生になっとると思う。

『……あかん。なんや思い出したら
余計会いたなってきたわ笑』

きっと今後も、

彼に会える確率はないに等しい。

けど誰よりもありがとうを直接伝えたい相手なんに、

探す手掛かりが無さすぎて、

行動するにも仕方が分からんから歯痒い。

治「かなり好きやん」

『え、そうかな？』

おとんや婆ちゃんにも喋った事の無い、

私の大切な存在の人。

感謝の気持ちを伝えたいって、

最初はそれだけやってんけど、

皆に教えてくうちに

どんどん気持ちが大きなってって、

この感情に私が自ら

名前を付けてええのかも戸惑うんやけど…

『ほなっ、好きって事にしとくわっ！！』

治くんに諭されたら、

確かになって素直に思ってしもうてん。

その男の子に会いたいって思うんは、

感謝の気持ち以上の感情も

もうとっくに含まれとったんやな。

『治くんは？そういう相手おらんのー？』

慣れなくて照れ隠しに笑って話を振ったけど、

治「……どうやろな」

妙に間があったと同時に、

目を合わせてくれへんかったら

こちらを向きもせず……

治「その男と会えるといいな」

『あ、おんっ……せやね！』

いつも通りの治くんなはずなんに、

どこか冷たく感じてまうんは何でやろ。

☆映画公開おめでとう☆