▽34 ページ34
・
優太は、それから一度も私の前に現れることはなく・・
毎日がとてもつまらなく過ぎていく。
朝起きても、彼はご飯を作っていてくれない。
仕事から帰り、ただいまと叫んでも・・おかえりは聞こえてこない。
何よりも彼の面影を消すことは出来なかった。
廉「先生、?」
最近また、放課後に廉くんの個別指導をしている。
私の様子が変だったのか気にかけてくれた。
『ん?』
廉「なんか、ずっと落ち込んどるから」
『え、そう?』
笑って誤魔化すけど、そういうの全部顔に出ちゃうんだろうな・・
廉「失恋でもしたん?」
『失恋、?』
どうなんだろう・・
優太を拒絶したのは私の方だ。
『そういうんじゃないよ!』
気持ちは晴れないまま、わたしは廉くんに笑顔を向ける。
廉「無理してるように見えんねんけど」
君には全部お見通しなんだね、。
『よく見てるね、私のこと』
廉「だって好きですから」
そういう事、もう戸惑わずに言ってくれる。
それは嬉しいんだけど、
まだ、それの受け止め方をわたしは知らない。
廉「先生?俺、推薦受けた」
そう言えば、推薦希望の子達はもう受験シーズンだっけ。
『そっか!手応えは?』
廉「めっちゃある。だって頑張ったもん」
自信を持って言えるそんな彼がちょっと羨ましかった。
廉「・・覚えてますか?」
『ん?』
ノートから目を離さない彼に、また慣れない緊張感。
廉「・・ご褒美」
『あぁ、』
そうだった。
ちゃんと廉くんに答えを出してあげないと
わたしも前に進めない・・
きっと優太は、こんな私に呆れてるんじゃないかな。
嫌気さして好きじゃなくなったんじゃないかな。
廉「受かったらでええから返事くださいっ」
『うん、ちゃんと考えとく』
ちゃんと理解してるのか、廉くんは落ち着いていた。
廉「あと、キャンプ」
廉くんは付け足すように話を続けた。
キャンプは今週の休日、。
あんなに嫌って言ってたのにどんどん日は近くなる。
廉「楽しみましょうね?」
『うん』
この引っかかりは、いつになったらなくなるのだろう。
1843人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美久(プロフ) - こんばんは、岸くんの作品探していたところ見つけて読ませていただきました!もう素敵なお話で大号泣です、、他の作品も読ませていただきます! (2022年9月22日 0時) (レス) id: b3cc7c76d7 (このIDを非表示/違反報告)
リーダー(仮) - めちゃくちゃ久しぶりに泣きました。 番外編も、読んでみたいです。 (2021年12月5日 0時) (レス) @page50 id: 6f32c3f285 (このIDを非表示/違反報告)
七奈(プロフ) - はじめまして。コメント失礼します。思わず涙が溢れました、、、苦しくて切なくて、だけどどこかあたたかさにも包まれていて、、、素敵なお話をありがとうございました!これからも作者さんのこと応援させてください。 (2021年9月14日 0時) (レス) id: f58e70d40b (このIDを非表示/違反報告)
ange - 感動で涙が溢れました。素敵なお話をありがとうございました。そしてこちらの作品に出会えたこと嬉しく思います。これからも作者様のお話を楽しみにしております。 (2021年8月23日 0時) (レス) id: 7b959df396 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 今まで見てきた占ツクの中で1番感動しました。もしよろしければ、岸くんと結ばれたお話や続編も見たいです。 (2021年5月28日 14時) (レス) id: 11c222fc20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:muhe | 作成日時:2018年5月21日 23時