10.一応筋は通った奴 ページ10
◇you side
私の父は、そんなに大きい呪力を持っていなかった。
だが、監 禁されていた私を庇おうと、上方に向けた術式が暴発暴走して……処刑処分となったらしい。
誰も逆らう事が出来なかったんだとか。
お爺ちゃんは私の唯一の肉親で、呪失師として残っているのは私も含め二人だけ。
…と言っても、お爺ちゃんの呪力はもう既に尽きている。
私ほどじゃないけど子供の頃、封印され掛けたと言ってたから、元は私同様の力を持ち合わせていたのだろう。
今は自宅圏内に御札が貼られており、その域内で生活をしている。
そこまで恐るほどなのかな、呪失師って。
私ら何も悪い事してないのに、な。
本当ならば祖父の老後はもっと自由で緩やかな物だったろうに。
私が生まれたせいで警戒が強くなったのだろう。
先生に車から下ろしてもらい、悟と門をくぐる。
隣を歩くコイツに貶される覚悟で話し掛けてみた。
『私が皆の何もかも奪ってんの……飛んだ厄介女だよな、マジでお前の言う通りだと思うよ、その癖何も与えられねぇもん』
この左手に呪霊を取り込んだって、傑みたいに武器には出来ない。
人の大事なものを根こそぎ奪う事しか出来ないなんて、哀れみが凄いだろ。
悟「お前自虐ネタとか言うタイプだったっけ」
特に突っかかることも無く、目線は前を向いたまま、空気に話しかけるくらいの透明度だった。
悟「俺らだって奪うと与えるは隣り合わせでやってる。そこら辺あんま変わんねぇだろ」
『そう?』
悟「そうなんだよ。考えすぎんな老けんぞ」
『うん、』
家の中に入れてもらい、お爺ちゃんが待つ奥の部屋へと足を進める。
別にただ会話しに来ただけなのに、あらゆる所から外部の監視の目が凄い。
悟「ここは刑務所かよ」
『まぁ、似たようなもんだろ』
『失礼致しますっ』
数ヶ月ぶりに見る祖父は少し衰弱したように見えるが、私に向ける笑みは変わらず柔らかかった。
悟は何も言わずに廊下で待っている。
2人だけにしてくれるらしい。こういうとこは意外と、なんだよな。
爺「元気だったかい?」
『はい、何とかやってます』
爺「彼とはどうなんだい?」
『まぁガラは悪いですけど、実力は確かですから…あと、一応筋は通った奴なので、信用はしてます』
爺「そのようだね」
『え?』
お爺ちゃんの安心しきった表情を見て私まで何かが解ける気分だった。
731人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
muhe(プロフ) - いこいさん» ありがとうございます!モチベに繋がります頑張ります! (6月19日 20時) (レス) id: d22ab8e63a (このIDを非表示/違反報告)
いこい - めっちゃ面白くて好きです!(普通のことしか言えなくてごめんなさい…)毎回続きが凄く楽しみになっています。これからも応援しています!! (6月10日 21時) (レス) @page40 id: 9fec290fe4 (このIDを非表示/違反報告)
muhe(プロフ) - ぽてさん» 一気見して頂けて嬉しいです。ありがとうございます!引き続き楽しんで頂けるように頑張ります! (6月4日 18時) (レス) id: d22ab8e63a (このIDを非表示/違反報告)
ぽて(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて一気見しました!無理せず頑張ってください!楽しみにしてます! (6月3日 15時) (レス) id: e37e791e87 (このIDを非表示/違反報告)
muhe(プロフ) - しょーゆさん» 初めまして。ありがとうございます!まだまだ続くので引き続き楽しんで頂けるよう頑張ります! (6月1日 0時) (レス) id: d22ab8e63a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:muhe | 作成日時:2023年5月27日 21時