21.後悔のまた後悔 ページ21
◇you side
孤独がどれだけ己を喰うか、狂わせてしまうか、私は知っているからこそ傑に寄り添ってやりたかった。
傑「そうか、君の左手も似たようなものだもんね」
でも傑は弱く笑うだけ。
それは、いつもの柔らかい笑みじゃなくて、何かを絞りきった限界の笑みだった。
頭よりも先に何かが危機察知する。
駄目だ、今コイツを独りにさせちゃッ。
『何に葛藤してる?なぁ、私分かるぞ?苦しいんだろッ本当に大丈夫か?』
傑「本当に大丈夫だよっありがとう」
私がどんなに感情的になろうと噛み付こうと、傑は当たり障りのない言葉で交わすだけ。
そんなに頼りたくないのか?
『プライドとか気にしてんなら悟と硝子には黙っとくし、吐く場所は必要だろ。ポロッと弱音吐いたら楽になる事だって』
傑「君は本当に強いね」
『え?』
一方的に喋っていたもんで、急に口を開いた傑に準備していた言葉が全て頭から消える。
傑は私じゃなくて、変色しきった左手を見つめていた。
傑「視野が広い。誰よりも辛い経験をしてきた分、人の痛みや変化に気付くのも早い……でもそうやって誰にでも無条件に優しくできるかい?」
『それ、は……』
傑「Aは自分に危害を加えた人間に同じように手を差し伸べられるかい?」
傑は私に何を求めている?
共感か?いや、それは違うし、私の持つ答えでもなかった。
『分かんねぇよそん時になんねぇと。でも人の命は悲しい事に平等じゃ無い……譲れない正義があるのは悪い事じゃないと思ってる。正論ばかり気にしてたら自分の首締めることになるぞッ傑』
傑「フッ、道理で悟が隣に置きたくなるわけだ」
『…何の話?』
私は余計な事を言ってしまったのだろうか。
傑の些細な表情の変化にも、敏感になっている自分がいた。
傑「君は悟の隣にいなよ」
色んな感情が混ざった、とても複雑な顔をしていた。
手を差し伸べたつもりが、余計彼を苦しめているような気がして、
『なんか良く分かんないけど、お節介だったか……ゆっくり休めよ?』
ここまで踏み込んだ癖に私は……
無責任に傑を突き放してしまった。
このとき、もっと容赦なくしつこくなっていれば良かったと。
消えない後悔はずっと私を責め続けることになる。
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muhe(プロフ) - いこいさん» ありがとうございます!モチベに繋がります頑張ります! (6月19日 20時) (レス) id: d22ab8e63a (このIDを非表示/違反報告)
いこい - めっちゃ面白くて好きです!(普通のことしか言えなくてごめんなさい…)毎回続きが凄く楽しみになっています。これからも応援しています!! (6月10日 21時) (レス) @page40 id: 9fec290fe4 (このIDを非表示/違反報告)
muhe(プロフ) - ぽてさん» 一気見して頂けて嬉しいです。ありがとうございます!引き続き楽しんで頂けるように頑張ります! (6月4日 18時) (レス) id: d22ab8e63a (このIDを非表示/違反報告)
ぽて(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて一気見しました!無理せず頑張ってください!楽しみにしてます! (6月3日 15時) (レス) id: e37e791e87 (このIDを非表示/違反報告)
muhe(プロフ) - しょーゆさん» 初めまして。ありがとうございます!まだまだ続くので引き続き楽しんで頂けるよう頑張ります! (6月1日 0時) (レス) id: d22ab8e63a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2023年5月27日 21時