11.温かい世界 ページ11
◇you side
爺「彼は先週末も私に会いに来てくれたよ」
『嘘、』
聞けば毎週末、ここに一人で顔を出しに来ているんだとか。
寄りによってアイツが?……想像すら出来なかった。
『…なんで』
爺「聞いとらんのかい?彼に結婚を申し込んだのは私だ」
『えッ、!?』
半ば無理やりな政略結婚。
きっと能力に恵まれた私達を毛嫌う上層部が、呪術界の未来を見据えた計画とばかり思っていた。
まさかお爺ちゃんだったなんて…てか何で悟だったのか。
爺「あの男はそういう物に欲がない。全てを持っているから当たり前なんだろうけどもね、一度はアッサリ断られたよ」
『そう、なの?』
爺「でもねぇー、見てれば分かるんだよっ。君に本気で惚れているみたいだったからね、少し悪い事をしてしまったかな」
お爺ちゃんのゆったりとしたペースに飲まれて、イチイチ吃驚なんてしている余裕がなかった。
でも……
爺「本当に良かった。心強い味方が貰い手で。私はホッとしているよ。これで悔いなくあの世の迎えを待てる」
『待ってよ、何だよそれッ』
急すぎる余命宣告宣言……
少し痩せたなとは思っていたけど、、こんな唐突に、そして余りにもアッサリ言われてしまうと悲しむ余裕すら与えてくれないのだ。
もしかして悟は、私よりも先に全てを知っていたのか?
爺「写真を沢山見せてくれてねぇ、随分楽しそうにやってるみたいじゃないか」
『まぁ…退屈では、ないです』
イチイチ私にカメラを向けてきていたのはお爺ちゃんに見せる為だったと気付くと、
なんか、一気に気が狂いそうだった。
あのゴミ屑な性格の悟が、
私とお爺ちゃんの為に良心で政略結婚を受け入れたとか。
酷い事をされるのは慣れているのに、こういうのに触れるのはほぼ初めてに近いだろう。
私には文句しか言わないのに、受け入れるには余りにも優しくて温かい世界だった。
悟「もういいのか?」
『うん、手紙書くし、また近々許可貰うから』
お爺ちゃんに一度別れを告げて、待たせていた悟と一緒に家を後にした。
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muhe(プロフ) - いこいさん» ありがとうございます!モチベに繋がります頑張ります! (6月19日 20時) (レス) id: d22ab8e63a (このIDを非表示/違反報告)
いこい - めっちゃ面白くて好きです!(普通のことしか言えなくてごめんなさい…)毎回続きが凄く楽しみになっています。これからも応援しています!! (6月10日 21時) (レス) @page40 id: 9fec290fe4 (このIDを非表示/違反報告)
muhe(プロフ) - ぽてさん» 一気見して頂けて嬉しいです。ありがとうございます!引き続き楽しんで頂けるように頑張ります! (6月4日 18時) (レス) id: d22ab8e63a (このIDを非表示/違反報告)
ぽて(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて一気見しました!無理せず頑張ってください!楽しみにしてます! (6月3日 15時) (レス) id: e37e791e87 (このIDを非表示/違反報告)
muhe(プロフ) - しょーゆさん» 初めまして。ありがとうございます!まだまだ続くので引き続き楽しんで頂けるよう頑張ります! (6月1日 0時) (レス) id: d22ab8e63a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2023年5月27日 21時