後輩、平野くん ~Sho.Hirano~

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＊岸side






今日もアイツがやってくる。





紫「Aせんぱぁーい！！」






彼氏でもないくせにAに思いっきり飛びついて･･




迷惑そうにしてるけど顔は笑顔。Aだって満更でもない様子だった。







先輩後輩･･違和感しかねぇけど、こいつら顔綺麗だし、何より横に並ぶと似合ってる。





付き合ってんじゃね？って噂が出るのもしょうがねぇこと。






だけど、俺には受け止められなかった。



こいつはずるい。






いとも簡単にAを抱きしめてスキンシップをとる。




俺にはその壁が分厚かった。







こいつらのやり取り見てると苛立つばかり、それと同時に何も出来ない自分に悔しさがあった。





「岸ー！」





廊下から俺の名前を呼んだのは、去年同じクラスだった女子。





ナイスタイミング。そう思いながら俺はこの空間から消えるように姿を消した。




廊下に出ればまた聞かれた。






「ねぇ、まだ告ってないの？」







Aと平野のやり取りを覗き見しながらそう言われた。






岸「そんな簡単に出来たら苦労してねぇって」






「めんどくさいやつ。取られちゃうよ？あの後輩くんに」







そうやって急かしてくるのはいつもの事。






何故ならコイツはAと同じ中学。






Aのことをよく知っていて･･･







「片思い歴伸びるとあとが辛いよ？」







去年から俺の恋愛事情に首突っ込んでくるからだ。







そのやりとりに興味を持って寄ってきたほかの女子。







コイツらみんな気付いてる。







「よかったね、A、鈍感な子で」






岸「うるせーよ」







時々それを嫌に思うこともある。







勘づいて、俺の気持ち察してくれたらどんなに楽か･･･







だけど、そう簡単に行くわけもないか。








教室に戻れば平野はもう居なくなっていた。







完全に投げやり。八つ当たりな感じでAに言ってしまった。








岸「付き合っちゃえば？」







そんなの俺が何よりも嫌なことで、なのに気持ちとは裏腹に口ではそんな事、簡単に言えてしまう。







岸「俺、他に好きなやついるから」






もどかしくて気持ち悪い。






それがお前だって簡単に言えたら･･･でもそれが言えないのは、







今の関係を壊したくないからだろう。







俺ってほんと、ビビりっつーか、女々しいっつーか。






格好悪ぃよな。







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