プロローグ ページ1
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本名、そして家族との縁を切り離し、、
公安の元に身を寄せたのはまだ指で歳を数えられた頃の話だ。
通常の学校には通わず、
ひたすら公安の下で訓練し続けてきた私。
周りは常に大人ばかりだった。
そんな中で私と同様に、プロヒーロー育成プロジェクトに参加していたホークス先輩も同じような環境下で。
だから唯一心を許して話せていたのは、先輩くらいだった。
本来なら公安委員会が準備したプロジェクトを遂行し、そのままヒーローデビューする流れだったが、
同世代の友を作りたい。青春という青臭く邪魔くさいものに憧れていた私は、公安の反対を押し切り、雄英高校に入学した。
でも結局、私はヒーローにはならなかった。
この個性と共に生きているのが理由だ。
「Aちゃんがいなくなったら世界の情報機関は崩壊する、それだけじゃない。警備システムは緩くなるし未然に防げた犯罪が次々起こる。……誰かが代わりを果たせる能力じゃないって自覚に責任が伴うなら、俺がその半分持ってあげるよ。それならちょっとは気楽でしょ？」
私は影で、平和を守る。
あの時…そう決めた。
「でもただいるだけで無条件に必要とされるなんて、Aちゃんモテモテだね〜」
『なんかその言い方腹立ちます』
無条件に必要とされる…か。
その時はまだ嬉しいようで、切ない。複雑な気持ちにさせられていた。
古い記憶が幾度となく私を責めていたからだ。
あれはまだホークス先輩と出会う…
公安に拾われる…もっと前の、苦しい記憶。
「何の為に産まれてきたの」
「ごめんなさいッ言う事聞くからッ…ここから出してッ叩かないでッ、、」
必要とされる事が、真の愛情と思い、信じ続けていた私は、、思っているより全然無力だった。
いつも与えてばかりと割り切って生きているつもりだった。
だけど……
「Aちゃんが死んじゃったら俺泣いちゃうよー？」
「相変わらず素直じゃないねぇ〜黙ってたら可愛いのに」
「そういう意地っ張りなとこ直さないと彼氏出来ないよー？」
いつもニヤけた顔で嘯くように本心を語る。
そんな先輩から知らぬ間に、何かを与えられていたみたいだ。
「後輩だから可愛い、みたいなノリで俺が子守りしてると思ってる？
__________ほんと、そういうのは鈍感だよね…」
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作者名：muhe
| 作成日時：2022年12月2日 20時
