二人の女神~sho.ren~ (ページ33)

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twin venus_33 ページ33

＊Aside

勝手に不機嫌になって、勝手に教室を出ていってしまった廉。

もちろん結ちゃんは、すぐにその後を追い掛けて行ったけど……なんだか取り残された気分だった。

『追い掛けた方がいいかな、？』

紫「放っときなよ、あんな奴」

『でも、』

問題を解きながら喋っていた紫耀くんは、書いていた手を止める。

小さく息を吐くとムッとしていた。

紫「追い掛けたところでなんて声掛けるの？」

『あ……えっと、考えてなかったッ…なんて言えば良いかな、？』

紫「相談する相手、多分間違えてるよ」

『え？』

プリントの端っこに何やらいたずらを書きを始める。

紫「アイツはね、Aちゃんが自分の所有物だと思ってんの」

『しょゆう、ぶつ、？』

用紙にシャー芯が擦れる音が響く。

彼はそのまま手をとめず、私との会話を続行した。

紫「ただの幼馴染みなのにAちゃんに求める事が多いんだよ」

『…求める、事？』

紫「だから思い通りにいかないとああなるの。良いように振り回されてるってことだよAちゃんは」

妹も含めて3人でいると、いつも自由なのは結ちゃんで。廉に対して振り回されている感覚は全くなかった。

『どうすれば、いいと思う？』

紫「どう、って？」

私は3人でいるのが好きだ。だけど気が付いたら私の想い描いてた理想の関係性はどんどん形を崩していく。

『自分でもよく分からないんだよね、』

紫「…2人から少し離れてみたら？」

『離れる、の？』

紫「ずっと一緒にいるから分からなくなるんだよ」

『それは言えてると思うけど』

大人になってもずっと昔のように3人でいたい…なんて余りにも現実味のない理想に過ぎない。

私が変われないだけなのだろうか。

紫「距離置いたら何も感じなくなるかもよ？俺に出来ることあれば何でも手伝うしっ」

『手伝うって？』

紫「んーなんだろね。思い付くことと言ったらこうやって一緒に居てあげることしか思い浮かばないけどっ」

一生懸命プリントの端っこに何かを書いているから気になって覗く。

紫「でーきたっ！」

『え、』

高校生のラクガキらしい物っちゃそうなんだけど。彼が書いていたものは相合傘で。

その下に仲良く並ぶ名前は、私と紫耀くん自身だった。