Vanilla_5 ページ5
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店に戻ってAさんが頼んだものを片付ける。
溶け切ったバニラはいつだって無防備で、
中途半端に中身を残したカクテルグラスもAさんの口紅が付いていた。
廉「はぁ、ちゃんとホテル着いたんかな」
イスを綺麗に並べ直していると
廉「ん?」
足元に1冊の手帳が落ちていた、。
それは無地の分厚目の手帳で、、
廉「また忘れ物」
ピアスを返したばっかやのに、また預かり物が出来てしまった。
だけど、全然嫌な気はせんくて、
なんならめちゃくちゃ嬉しくて。
床からそれを手に取ると、ちょうど今月のカレンダーのページが開かれていた。
見ようとした訳ちゃうけどスケジュールが目に入ってしまう。
"打ち合わせ"
"プレゼン"
"企画書提出"
"会議"
ほら、やっぱりちゃんと仕事してるやん…
また変に胸がギュッてなって、
だけど、
廉「ん?」
日付は変わって今日の所に
マーカーペンで印がついとった。
何か予定の内容が書いてるわけでもなく、でもかなり大事な日なのかそこだけ目立つような存在感。
Aさんの全部を知り尽くしたい...
そう思ってる俺はまだシラフの君を知らない。
店に来る時の彼女はいつもベロッベロで...
ヘラヘラ笑ってみせてるけど、頬にはいつも涙のあとがくっきりで。
俺とは無縁なのかもしれん、。
俺には知る資格なんてないのかもしれん。
だけど、
俺が思ってるほど、普通な事ちゃうのを察して、
じゃぁ酒に溺れて泣いてるんは、何かを忘れたいからなん?
彼女の本心に触れたい…
真っ先に思ったんはそんな事やった。
酒で忘れようとしとる現実が君をどれだけ苦しめとるのか
だけど、それを知ったところで
俺は、君の大切な人になれるのだろうか、。
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ゆー - 前から見させて頂いていて、今回の小説も面白いです!更新楽しみにしております。 (2020年2月12日 1時) (レス) id: 7ed49a0414 (このIDを非表示/違反報告)
白米王女(プロフ) - もしよければ続きで裏出して欲しいです… (2020年1月14日 22時) (レス) id: 771a82acdb (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2019年10月27日 22時) (レス) id: a50c63b20c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2019年6月22日 20時