glassflower_6 ページ6
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やっぱり、紫耀には言えなかった。
それを言ったら、余計に紫耀を困らせて苦しませるだろうから。
いつものように晩ご飯を二人で食べては「ごちそうさま」を迎えた。
食器洗いも全部してくれるからいい加減何か手伝いたくもなるんだけど、、
紫「Aは何もしないでいいからっ」
紫耀の優しさというか、
背負わせてしまった恐怖心に自分は少しでも答えてあげようとする。
だからテレビを見ながら紫耀が片付け終わるのを待っていたのだけれど、、
−−−−キュッッっ、。
蛇口を閉める音、。
それと同時に終わった事を知らせる。
『紫耀終わっ』
−−−−ギュッっ、。
水で冷たくなった紫耀の手は強く私の腰に巻きついた。
つまりは、後ろから抱きしめられている。
『え、ちょっ・・紫耀?』
それがあまりにも唐突だったから軽く戸惑ってしまうわけで、、
でも紫耀の思ってる事が全部そのまま胸の振動を伝って聴こえてきた。
紫「・・甘えたくなっちゃった」
サラサラした髪の毛が耳元で微かに触れてくすぐったい。
どう返してあげるのが良いのか分からなくてただひたすら無言の時間を作ってしまった。
すると紫耀はその腕を強く締めてくる。
−−−−ギュゥゥゥっ。
感情でどうにかしたい、まるでそんな生きもがくような抱きしめ方だった。
『紫耀っ、ねぇッ苦しいよッ』
私が彼の腕を剥がそうとすればすぐに気付いてくれた。
紫「・・ごめん」
私からちょっと離れて距離を作ってくれた紫耀だけど、
そんな彼はずっと端に置かれた仏壇を見ていた。
そこには私のお父さんとお母さんの写真が立てられていて、
紫「俺はいつだって覚悟してるよ?Aと、この店やってくって・・」
『・・うん、ありがとう』
その気持ちはとても嬉しい、。
紫「ちゃんと考えてくれてる?」
『うん、』
私だって紫耀と続けられたら幸せだろうな、って。
そう思う、そう思うけど。
『ごめん、まだ決められない・・』
諦めが悪いのは元々かもしれないけど、
彼に会ってしまった今の私には、少しの確率もそれを残していなかった。
ごめんね、紫耀・・
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林檎(プロフ) - ドラマみたいで感動しました。映像化してほしいです (2023年4月13日 18時) (レス) id: 84e97ac5a3 (このIDを非表示/違反報告)
まい - 涙が止まらなかったです。。。岸くんと華ちゃんが幸せになりますよーにと願ってしまいます。。。他の作品も拝見させて頂きましたがmuheさんの書く岸くんが素敵過ぎて岸くんにどハマり気味です 笑 (2023年1月4日 21時) (レス) @page49 id: e5435e7bdd (このIDを非表示/違反報告)
ななみ - ほんとに1人号泣しました。岸くんだからこの役合ってるなって思いますありがとうございます!!こんな素敵なお話を!とても切なくて悲しい話ですが (2020年5月19日 22時) (レス) id: 9698ee50ef (このIDを非表示/違反報告)
moca - 素敵な作品ありがとうございます。何度読んでも涙が止まらず、私が読んできた作品の中で1番に大好きな作品です。こんなに作品で泣いたのは初めてです!素晴らしい作品を書いて下さり、ありがとうございました! (2020年4月5日 21時) (レス) id: 039decc541 (このIDを非表示/違反報告)
花 - 岸くんの素敵な人柄がそのままに出ている作品で、お話の内容も、本当に素敵で、読んでいて涙が止まりませんでした。今まで読んできた作品で1番感動しました。その作品を書いてくれて、本当にありがとうございます! (2020年4月3日 15時) (レス) id: c9cd880fe4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年10月11日 19時