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まだ病院の中に居る・・そう思った私は布団を足元に折る。
岸「A」
『優太は来ちゃダメだからね?』
岸「うん、ここで待ってるよ」
気が付けばもう、車椅子でしか移動が出来なくなっていた私、。
固く麻痺した足はとても重くてただのお荷物になっていた、。
すると優太が私の所まできて・・
岸「俺、必要?」
肩を貸そうか、それとも一人で頑張るか・・そんな事を委ねてくる彼はとてもずるかった。
常に左腕に繋がれている点滴を車椅子の背に引っ掛けて腕を伸ばした。
『大丈夫っ、力仕事は幼馴染みに任せたいから』
優太を見れば静かに頷いて分かってくれる、。
君って本当に柔軟で強いね・・
私も紫耀も、優太を見習わなきゃいけない。
一人で車椅子を押しながら向かったのは、いつの日かの病棟フロア。
そこには待合室でずっと俯いている紫耀がいた。
『紫耀ッ』
紫「・・ッ」
直ぐにこっちを振り向くと、車椅子に乗る私の姿にグランとその瞳を揺らせていた、。
『私、嫌だよ?』
紫「・・、何が?」
感情を押し殺して、やっと言葉に出来たのはそんな言葉だったんだと思う。
『進まなくていいし、前なんて向かなくていいから・・後ろだけは向かないでッ、』
私から目を逸らした紫耀は何やら重めの溜め息をして・・
紫「・・ッ、ほんと無責任なやつ、よくそれで旦那作れたよな」
ゆっくりと近付いてきた彼の足取りはとても不安定で、、
目の前でしゃがみ込む紫耀は私の手を弱々しく握った。
だから、私も彼の背中に手を当てる。
紫「・・嫌だッ、Aが居なくなったら、ほんとに俺っ、」
『大丈夫だよっ、紫耀は頑張れる・・私はちゃんとそれを知ってる』
現実が生み出すそれにただ怖くて焦ってるだけ。
紫耀はそれを受け止める力をちゃんと持っていた。
実質、優太が私を忘れた後、罪悪感に負けじとずっと私の傍を離れなかった。
『紫耀・・それってすごい事なんだよ?大したことなんだよ?』
紫「・・ッ、っ、」
『分かってるよ?私は紫耀の事・・いつも全部見てるしちゃんと認めてるよ?」
頭を撫でてあげればボロボロと静かにそれを零す。
『大丈夫だからっ、みんな大丈夫だからっ、!』
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林檎(プロフ) - ドラマみたいで感動しました。映像化してほしいです (2023年4月13日 18時) (レス) id: 84e97ac5a3 (このIDを非表示/違反報告)
まい - 涙が止まらなかったです。。。岸くんと華ちゃんが幸せになりますよーにと願ってしまいます。。。他の作品も拝見させて頂きましたがmuheさんの書く岸くんが素敵過ぎて岸くんにどハマり気味です 笑 (2023年1月4日 21時) (レス) @page49 id: e5435e7bdd (このIDを非表示/違反報告)
ななみ - ほんとに1人号泣しました。岸くんだからこの役合ってるなって思いますありがとうございます!!こんな素敵なお話を!とても切なくて悲しい話ですが (2020年5月19日 22時) (レス) id: 9698ee50ef (このIDを非表示/違反報告)
moca - 素敵な作品ありがとうございます。何度読んでも涙が止まらず、私が読んできた作品の中で1番に大好きな作品です。こんなに作品で泣いたのは初めてです!素晴らしい作品を書いて下さり、ありがとうございました! (2020年4月5日 21時) (レス) id: 039decc541 (このIDを非表示/違反報告)
花 - 岸くんの素敵な人柄がそのままに出ている作品で、お話の内容も、本当に素敵で、読んでいて涙が止まりませんでした。今まで読んできた作品で1番感動しました。その作品を書いてくれて、本当にありがとうございます! (2020年4月3日 15時) (レス) id: c9cd880fe4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年10月11日 19時