Glass Flower ~Yuta.Kishi~

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それから、岸くんは定期的に私のお店を利用してくるようになった。








だから余計に離れられない、。









この気持ちにも、彼にも･･･、。








もう、諦めるとか立ち直るとか、どっちも無理なんだ。








私はこの運命に泣きながら付き合っていかなくてはならなかった。








でも、それも運命と感じるなら、それはそれで有りかな、と。








部屋の奥にしまっていた大きめのクッキー缶。







それを手に抱えては、茶の間まで持ってきてしまった。







重くて堅くて･･そんな簡単に開かないクッキー缶は、まるで私の心の中に閉じこもっているようで。







−−−−パカッ、。







音を鳴らしてやっと開いたそのクッキー缶も、、







ただただ思いが募るだけ、。







ひたすら苦しくなるだけなのに、そう分かっていて手に取ってしまう、。








束になった大量のL判写真、、







一枚一枚をめくっていけば懐かしい二人の姿、。









そこには無邪気に笑った彼と自分が写っていて、今がどんどん暗くなる。







写真はどれも楽しそうで、







お互いの事を愛してるのが写真からでも伝わってきて･･見るからに幸せそう。








だけどもう、写真に写る二人はどこにもいない･･







どこへいなくなってしまったのだろうか。







･･あんなに、







お互いを想って、誓い合ったはずなのに、ッ。









これから、







もっともっと楽しい未来が待ってたはずなのに。







幸せな時間を沢山つくるはずだったのにッ、。








あんな一瞬で、







花びらが全部を散らすなんて、。








私の記憶には嫌になるほど焼き付いてるというのに、、







世間は、不思議な程にその違和感を溶かしてしまう。







だから違和感になっているのは、私だけなのかもしれない。








最後の一枚になってしまったその写真、、






それは純白なドレスを着ている自分が写っていて･･









『約束、ッしたのに、っ･･』








ギュッと写真を握れば頬に伝ってしまう涙。








式は、Aが大好きな花でいっぱいにしたい･･そう言ってくれたのに、。








嬉しそうに、沢山お花の名前を覚えてくれたのに、、








『･･ッ、なん、でっ、、･･ッ』








"「これって桜の木っすよね？」"









なんで全部忘れてしまったの、ッ？

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