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一枚の障子紙を越えて聞こえてきたのは、そんな聞き慣れた声。
私は咄嗟に起き上がって、紫耀から逃げるかのように店の前に出た。
『岸くんっ、いらっしゃい!!』
まだ乾ききってない涙を何とか誤魔化して、下手くそな作り笑顔を彼に振りまく。
だけど、どんなに鈍くても何となくで分かってしまうのだろうか?
岸「あっすみませんッ俺・・もしかして邪魔しちゃいましたッ??」
『え?』
私の後ろでギッチリと距離をなくした紫耀は、無表情で岸くんを見ていた。
『いやそんな事ないですッ営業時間ですから!!』
エプロンを掛けようとしたのだが
紫耀の棘のある言葉に足が止まってしまう。
紫「すごい邪魔です、」
『・・しょぉ、、』
チラッと岸くんを見ればどことなく切なそうな顔をしていた。
だけど何かを悟ったように苦く笑ってみせて・・
岸「あ、やっぱり・・すみませんッっ」
彼は何も悪くないのに謝ってくれる。
そう、いつだってどこだって。
・・謝らなきゃいけないのは私の方なのに、。
岸「あっそうだ!」
頼まれたお花を包装してれば岸くんは何かを思い立ったようにそれを口にした。
岸「連絡先、交換しません?」
『へっ』
岸「あぁほらっ!忙しい時とか来たら大変かな、って・・」
私の顔色を伺って様子を見てくる彼がものすごく愛おしかった。
だから、素の笑顔で『いいですよ!』と言いたかったのに・・
紫「Aと関わるん辞めてもらえます?」
『・・しょ、ぉ』
私と岸くんの間に割って入ってくれば警戒心は剥き出しで・・
紫「目移りとかまじ勘弁なんで」
強気に見えてとても声は震えてた、。
−−−−ギュッ、。
後ろで静かに握られた手も、
俺から離れないで、と・・そう言われてるようで、
だから、大人しく黙ってることしかできなくて・・
岸「あっ、・・そうっすよねッ彼氏いんのに俺めっちゃ馬鹿っすね、っ」
一人で納得していた岸くんにも、胸は死ぬほど苦しくて、。
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林檎(プロフ) - ドラマみたいで感動しました。映像化してほしいです (2023年4月13日 18時) (レス) id: 84e97ac5a3 (このIDを非表示/違反報告)
まい - 涙が止まらなかったです。。。岸くんと華ちゃんが幸せになりますよーにと願ってしまいます。。。他の作品も拝見させて頂きましたがmuheさんの書く岸くんが素敵過ぎて岸くんにどハマり気味です 笑 (2023年1月4日 21時) (レス) @page49 id: e5435e7bdd (このIDを非表示/違反報告)
ななみ - ほんとに1人号泣しました。岸くんだからこの役合ってるなって思いますありがとうございます!!こんな素敵なお話を!とても切なくて悲しい話ですが (2020年5月19日 22時) (レス) id: 9698ee50ef (このIDを非表示/違反報告)
moca - 素敵な作品ありがとうございます。何度読んでも涙が止まらず、私が読んできた作品の中で1番に大好きな作品です。こんなに作品で泣いたのは初めてです!素晴らしい作品を書いて下さり、ありがとうございました! (2020年4月5日 21時) (レス) id: 039decc541 (このIDを非表示/違反報告)
花 - 岸くんの素敵な人柄がそのままに出ている作品で、お話の内容も、本当に素敵で、読んでいて涙が止まりませんでした。今まで読んできた作品で1番感動しました。その作品を書いてくれて、本当にありがとうございます! (2020年4月3日 15時) (レス) id: c9cd880fe4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年10月11日 19時