ガラスの靴すら ~Yuta.Kishi~

cinderella_56 ページ8

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廉くんに連れられてやってきたのは小洒落たバー。







−−−ガチャっ、。







カランカランと揺れるベルの音に慣れなくて少し緊張してしまう。







先を進む廉くんはとても来慣れた感じだった。







バ「いらっしゃいませ、永瀬様っ」






廉くんに深くお辞儀をしたバーテンダーさんは私を見るなり少し不思議そうにしていて







廉「今日は1人ちゃうねん」






廉くんはサラッとそう言って私を紹介してくれた。







バ「では奥の席をご案内致しましょうか？」






素敵な配慮だなぁ、なんて二人の会話を黙って聞いていると






廉「A？」






『へっ？』





廉くんが急に私の名前を呼ぶから構えてなくて間抜け面をしてしまった。






『な、なに、っ？』





廉「緊張しとる？(笑)」






クスッと笑うとそうやって小馬鹿にしてくる。





でもこんな所誰とも来ないし、、それこそ廉くんじゃないと来れないような場所だった。






だから素直に






『･･うんっ』






そう頷くと･･･






廉「いつもの席にしてもらえる？」






バーテンダーの人にそう伝えてカウンター席へと荷物を落とした廉くん。






廉「Aっ、ここき？」






ポンポンと椅子を叩いて示してくれるから急いでそこへと足を進めた。






着ていたアウターを脱いでとりあえず彼の隣に座る。






こんな大人な雰囲気も場所も全てが慣れないから、、キョロキョロ見渡して確認していると







廉「バー来るん初めてやんな？」





『うん』







廉くんは頬ずえをつくと、嬉しそうに私を見ていた。








『え、なにっ？』






廉「他の男とこういうとこ来たらあかんで？もちろん岸くんとも」






『なんで？』






廉「好きやろ？こういう静かで落ち着いとる雰囲気の方が。俺だけにして欲しいねん」






『廉くんってほんとに私の事なんでも知ってるんだね』






廉「前にも言ったやん･･好きやから分かんねん」







好きだったら誰でも相手のことを分かるというのはとても稀だ。






私は岸くんが好きでも、彼の事をちゃんと知れたことがなかった。






きっと廉くんは特別なのだろう。









廉「まぁ他の男に持ち帰りされたないってのも本音やけど、、」






スルッと彼の手が横に伸びてきて私の手を握りしめた。







廉「A」





『ん？』






廉「･･好きやで」

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