ガラスの靴すら ~Yuta.Kishi~

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岸「まだ気にしてたのかよ」





そんな言われ方したらもう心細くて無理に近い、。






『その言い方、なにッっ、？』







何もかもを投げやりで、この関係をもっと壊す覚悟だった。






『いつだって一緒にいて気使うのッ、ラーメン食べに行くだけなのにソワソワして、居酒屋なんて賑やかな所行かないし･･』






閉じ込めていた本音を言うことが、どれだけ勇気のいることだったか。







岸「俺の事、馬鹿にしてんの？」






ポロッと言ってしまった事に後悔して、







『なわけないじゃんッなんで伝わらないの？本当は私といて楽しくないんじゃないの？』






そんな風に強気で出ても･･






岸「それはAだろ？」





『えッ、？』






自分に返ってくるなんて思ってなくて、、






岸くんの顔を見れば今までに見たことの無い表情をしていた。







岸「俺、昨日永瀬とキスしてるとこ･･･見ちゃったから」





『･･ッ』






一気に血の気が引いて、否定したいのにできないのが事実だった。






岸「やっぱりお似合いだよ、お前ら」





『なんでッ、そんな事、言うのッ、？』








誰にも言って欲しくなかったのに、





岸くんに言われたら一番傷つく言葉だったのにッ、






『知ってた、んだッ』





岸「そんなに疎くないよ」





『････ッ』






思考が完全に停止して、どう言葉を並べていいのか分からなかった。






岸くんでぽっかりできた穴を埋めたかった。






そう言えば綺麗な言い訳で、私が最低なことに変わりはなかったのだ。






岸「俺の事からかってたの？」





『それは違うッっ』






必死に否定してみても、今の自分に信用性は一欠片もないだろう。







岸「全部俺の思い違いだったって事ッ？」







思い違い･･そんなはずはなかった。







わざわざしんどい道を選んでまで、あなたに縋っていたかった。






岸くんに愛してもらいたくて沢山いろんな人巻き込んで、、






なのに、






岸「やっぱり永瀬と結婚しとけば良かったんじゃね？」






『なんで、･･そんな事言うのッ？』







職場の前でこんなみっともない姿･･






そう分かっていても、頬を静かに流れたそれは






今までにないくらい、私を不幸に落として行った。

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