ガラスの靴すら ~Yuta.Kishi~

cinderella_87 ページ39

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自分の部署で静かに自分の仕事と向き合う。







そんな当たり前の日常も、、







−−−プルルルルルルルルッっ。








内線の電話で何かが一気に壊れ出す。







部長がその電話に出てば一瞬だけ緊張感を生んで、、直ぐに受話器から離れると私の名前を呼んだ。








それは紛れもなく廉くんからだろう。







言われなくてもすぐに分かってしまうのだ。








そしてその内線を受け継げば









廉「空き部屋来て」






『え、ちょ、…今？』







私の返事を待たずにそれはブチッと切れてしまった。







部長に訳を話してその場から立ち上がったけど









「次期社長に気に入れられるとサボりもできちゃうんだねッ」








そんな嫌味にも聞こえる声が嫌でも耳に入ってきてしまうのだ。







サボりたいわけじゃないし、媚を売ってる訳でもないのに、。






なんで、そんな見られ方をしてしまうのだろうか。







人の欲とは、時に残酷で醜い形に変わる。







それを強く感じさせたのは…やっぱり







廉「なぁ遅い、来るだけやろ」






『ごめん、』








廉くんだろう。







『用って何？どうかしたの？』






仕事は片付かないし、残業が増えれば帰るのも遅くなる。






早く仕事に戻りたかったのだが、、








廉「用はないけど、会いたかっただけ」







夢中なまでに抱きしめられると否定の仕方に悩むんだ、。








『ねぇ、廉くん仕事中だよッ』





廉「ちょっとだけ」





『良くないよッ戻らせて』





廉「嫌や」






『ねぇッ…んっ』







唇を塞がれて徐々に自由を奪われれば、、








『ねぇ待ってよッ廉くんっ落ち着いて？』






廉「誰も見てへんからッなぁっ、お願いッ」







何に怯えているのか、何に不安がってるのか…デスクに押し倒されたらもう持っていかれるわけで。








『職場はダメって前も言ったでしょ、？』








廉「家ならいつでも受け止めてくれるん？」







『それ、は…』








その言葉に答えたとしても、純粋に受け止めきれなかった時、







彼は直ぐにそれに気付いてはまた私のせいで深い傷を負ってしまうだろう。








じゃぁどうしたらいいのかなんて、私にも彼にも分からない。







ただ苦しい中をぶつかり合いながら生きてくしか、出来ないのだろうか。

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