雨男センパイ ~Yuta.Kishi~

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思えばあと少し、。






なのにそのあと少しもあっと言う間に過ぎてしまう。







時の流れを止めることは出来ないからか、現状を受け止めるのに必死で･･･







大会が行われる場所へ行く前に、必ず自分たちの学校で集まる。







先生方に挨拶をしなければならなくて･･







今は部員たちの様子を伺いながら調子を整えていた。







だけど、、







廉はまだ来ていなくて･･･








「やっぱりアイツ、来ないって」







部員の誰かがボソッとそれを言葉にすると、空気はとても重くなった。







なのに、







岸「決めつけんなって･･ただ来づらいだけだろ？」







その来づらいだけ、が来れない理由だと言うのに、、






岸先輩の言う事はいつもフワフワしていて宙を舞っている。







なのに憎めないのは、、







岸「信じろって！！だってあの廉だぞ？」







誰よりも固く真っ直ぐに廉を信じてくれていた。







その姿勢が部員達にも刺さったのか、







やっぱり岸先輩ってすごいな、と。







最後までちゃんと部員をまとめる部長で居てくれるのだ。







だからこそ、岸先輩の最後の試合は、







サッカー部、全員で試合に挑みたかった。








とは言っても、廉が来てくれる可能性をまだ見い出せていなかった私、。







岸「Aちゃんは･･Aちゃんだけは、いつになってもアイツの事、ちゃんと応援してあげてよ？」







その言葉を、まさか岸先輩に言われるなんて思わないから･･







『･･私はみんな応援しますッ･･廉も、岸先輩も･･･部員達全員を全力で応援しますっ、っ！！』







そう言えば岸先輩は安心したような表情をする。







岸「さすがマネージャー！！」







肩をポンと叩かれて、岸先輩はそのままバスの中に乗ってしまった。








岸「ほら乗れって！！」








岸先輩は、いつだってやっぱり太陽みたいで。







沈みきった、湿めきった人の心を暖かく包み込んでくれる人だ。







私も、そんな先輩みたいに、、







一人でも多くの部員を元気に出来たらいいのだが、。







会場に着いてそれぞれが荷物を落とす。








自分たちの練習場所を確保して、グランドに進むと･･･








『･･っ、･･うそ』







廉「お前、俺のスパイクちゃんと持ってきたよな？」








何週間ぶりの廉は、ウインドブレーカーを着てストレッチをしていた。

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