雨男センパイ ~Yuta.Kishi~

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廉の顔を見てパッと思い浮かんだ。






私はすぐさま家の中に入り、階段を登って自分の部屋へと急ぐ。







−−−−ガチャッ。






ドアノブに手をかけて中に入れば







『ちょっと！、』







彼は窓枠を跨いで先に私の部屋にいた。







許可もなくベッドで寛ぎだしたそいつに愚痴をこぼす。








『ねぇ勝手に人の部屋入んないでよ！！』







クッションでボコボコ叩けばそれを手で防御される。







廉「お前やって毎日俺の部屋来とるやんか！！」







確かにそうなんだけど、







『廉の部屋と私の部屋とじゃ訳が違うのっ！！』







試合中にこっそりと撮った岸先輩の写真も、フレームに入れて机に飾っていた。







それをこいつに見られたという事は余りいい事が期待できない。







慌ててその写真立てを倒すと思っていた通りの言葉が出てきた。







廉「ただのファンやん」







『うるさいなっ！！ちょ、濡れた髪で枕に寝ないでッ！！』







バシバシ引っぱ叩いて廉を起こそうとする。






お風呂上がりだからかメンズ用シャンプーの香りが鼻についた。







世の女子はみんなそれにキュンと来るんだと思う。







それが岸先輩だったら私もキュンと来ていただろう。







だけど、溜め息しかでない。







そこから移動する気のない廉は怠そうにスマホをいじり始めたのだ。







さっきまで、あんなに幸せだったのに･･







この落差にズドンと沈む。








『ねぇてか何で先に帰ったの？』






廉「そうLINEしたやんっ」






『いや来てたけど雨で帰れなかったじゃんッ』







廉の口から謝罪の言葉が出るとは思わないから言い訳に構えていれば







廉「でもそれのお陰でええ事あったんやろ？」






『へ？』






廉「感謝して欲しいくらいやねんけど」







そう言いながら見せられたのは、スマホの画面。






玄関にいる私と岸先輩の画像があった。






どうやらさっきの姿を部屋から盗撮していたらしい。








『ちょっとッ消してよ！！』






廉「めっちゃ女の顔やなー」







小馬鹿にするように言ってくるから今日あった出来事を最大限に自慢する。







『見て！！岸先輩から貰ったの！！』






廉「ふーん」







マスコットを廉に向けたが彼はこちらを見てはくれず。







スマホに目線を戻したまま、つまらなそうな返事が返ってきた。

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