子犬のきんぐ ~Ren.Nagase~

子犬のきんぐ_1 ページ1

＊廉サイド







ペットサロンで度々目に掛ける。







コイツらはだいぶ昔っからの知り合いで、スタイリストの目を盗んでは待ち時間にこんな姿。









廉「なぁ、海人の飼い主は？」







ガラス張りの外を見れば姿が見当たらない。








何してる人なんかなって気になれば、








海「学校行ったよ！テストって焦ってた」








高校生らしくてちゃんとした理由があった。









廉「え、紫耀の飼い主は何してる人なん？」







紫「パン屋さん」






廉「は！？」








聞けば配達に行ったとか…







変な溜め息が止まらない。









廉「俺の飼い主、どこ行ったんや」








今日は休日や言うてここに連れてこられたんに、当の本人は俺を置いて遊びにでも行ったんかな。







怒りがおさまらない。








廉「信じられへん」







海「でもさっきまでそこ居たよね？」









何かと俺を振り回す自分勝手なA。









廉「今日という今日は許さんわ、昨日もドッグフード切れてたから人間用ウインナー食わされたし…」







海「愚痴とまんないね」







廉「当たり前やん、あぁ、ほんまもっとしっかりした飼い主が良かったわ」








そうボヤけば2人してニヤニヤしだす。








廉「え、なに？」







紫「そんなに嫌なら早くその首輪外したら」






廉「は？」









カットするからって2人は飼い主に首輪を外されてここに来た。








なのに俺は外すのを嫌がった為、それをお守りのように手にギュッと持っている。








廉「あほっ、これ無かったらアイツ自分のペットがどいつか分からんやろっ！！」








必死に言い訳するけど2人には通じないみたいで








紫「Aちゃんの事、下に見すぎじゃない？」







紫耀にそう言われたけど、、








廉「なんで名前知ってんねんっ」








一人で焦っていると至って普通の紫耀、。








紫「なんでって首輪に名前と電話番号書いてるじゃん」






廉「えっ」







首輪の裏を見ると飼い主の情報を書く欄にちゃんとAの綺麗な字があった。








前の飼い主なんか、こんな事せんかったなぁ、って。







そんな事を考えると、やっぱりAが恋しくなってまう…








だから嫌やってん、ここに連れられてこられるん。

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