シンデレラボーイ ~Yuta.Kishi~

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モヤッと晴れない表情をすると、彼は気を利かせて声を掛けてくれる。





岸「王子困らせんなって！！」




･･だけど、笑顔で答えるのは無理で、、




『･･うん、ッ』




頬に伝う涙を下に向けて、私は静かに頷いた。




だけど、ボロボロと出てくるそれに比例するように気持ちはどんどん闇を抱える。





運命から縛られた、今この時を、岸くんに助けて欲しいと願うのみ。





岸「大丈夫だって、大丈夫だから！！」





君はひたすらそれを言葉にする。



分かってる。




彼が私と接すれば幸せや癒しよりも、


もっと私達を苦しめ続けるものが先に来るということ。




だからそれに負けないように、私は岸くんの胸を借りるんだ。




岸「永瀬、良い奴なんでしょ？」



『･･うん』



岸「きっと幸せにしてくれるって」





確かに、一途な廉くんは私を幸せに導いてくれると思う。



だけど、それでさえもやっぱり納得のいかない私はきっと誰よりも貪欲なのだろう。





『分かってる･･もう嫌になるくらい分かってるのッ！！･･だけど、でも･･ッ岸くんがいないとッ、何をするにも気持ちが晴れないの、、ッ』





ねぇ、慰めてよ。


よしよし、って･･大丈夫だよって。




今までしてくれたみたいに頭を優しく撫でて、私を安心させてよ･･ッ





『面倒くさい女でごめんね、？ッ･･それくらいッ、岸くんが好き、ッ岸くんじゃないと嫌なの、ッ！！』




彼は静かに聞いていた。





岸「馬鹿だなぁ、幸せにしてやれねぇのに」




それに否定をしなければ肯定もしない。




きっと、彼だって悩んでるんだ。




力ずくでどうにかなる問題じゃないから、悩んで苦しんで、いい答えをみつけようと頑張ってくれるんだ。




だから私だって我が儘ばかり言ってられない･･って。




柄にもなく大人ぶってしまう。



カッコ悪くも強がってしまう、。




彼は何もかもを殺して、ただ触れるだけ、そっと私の背中に手を添えた。





岸「話しならいつでも聞いてやる。愚痴があるなら何百回でも相手してやっから･･だから、振り向くなって」




言ってることはめちゃくちゃだ。




私を弱くさせて求めさせといて、振り向くな･･なんて勝手がすぎる。





岸「お前が俺を見なくなっても、俺はちゃんと見てっから。ちゃんと見守ってるから」





だけどそんな時間も、魔法と一緒に解けてなくなってしまった。





次の日、･･学校に岸くんは来なかった。

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