シンデレラボーイ ~Yuta.Kishi~

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その言葉に満足したのか彼の口角は少しキュッと上がっていて





廉「お前も災難やな」






布団に頭をつけて天井をボーッと見ていた。








『廉くんは違うの？』






廉「俺、？」






心当たりは全くないのか、頭に疑問符をのせた彼はとても不思議そうにこちらを見てきた。






『せっかくご両親が帰ってきたのに、これじゃぁゆっくりお話する時間がないんじゃ』





廉「ああ」






なのに君は苦く顔を歪ませた。







廉「別に今日の食事会がなくたって俺の親は俺との時間作ってくれへんから」





『え』






廉「仕事で忙しいんやって･･お前は恵まれてるで？」






寝そべりながらこちらに顔を向けてそう言われた。






恵まれてる･･か。





自分の子供なら誰だって幸せになって欲しいと考える。





何不自由なく、幸せに暮らしてほしいから、色々と手を出してくれるのだろうか。






考えれば凄く親からの愛も感じるけど･･



それと同時に複雑な気持ちにもなった。






『･･世の中上手くいかないね』






ボソッと彼に共感を求めれば、





廉「まぁ、何でも思い通りにいったらそれはそれで人生つまらんやろ」






廉くんは目には見えない何かをずっと見据えていた。





時々見せる廉くんのその表情が何を意味してるのかすごく考えさせられる。





私と同じように、何かで悩んでいるのだろうか。





暫くして、親同士が話を終えると、廉くんはご両親と共に帰っていった。





切ない･･というか、寂しそうな顔。





なんか、放っておけなくなるような、そんな表情をしていた。





最近の廉くんは特に様子が読めない。





放課後になると、いつもと同じように色んな女の子と話をしているが･･





どうやらそれも本当にお喋りしてるだけらしいのだ。





噂の話を聞けば、浮気とか、遠距離恋愛とか･･





何やら辛い思いをしている女子を慰めているらしい。





チャラい、という印象はどこへやら･･






前に保健室で廉くんと同時に出会したBクラスの女の子だが、




どうやらその子は彼氏から暴力を受けていたらしい。




そう考えると怪我をしていないか確認していたのだろうか･･





廉くんはとても頭が良くて回転が早い。





私が来たのを察して彼女の痣が見られないように、自分の服を肌けさせて庇ったのだろう。






なんでそこまで分かっていて･･





彼に冷たく当たってしまうのだろうか。

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