シンデレラボーイ ~Yuta.Kishi~

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『廉くんは決してあなたの彼女に手なんか出してないッッ』




「はぁ？」






眉間に皺を寄せて、こちらを睨んでくるから怖くて怖くて堪らなかった。





私は竦んだ足で必死に廉くんの元へ駆けつける。






こんな頼りにならないのが隣にいても、ただただ邪魔なんだろうけど、





私は廉くんを庇った。







『婚約してるのに他の人に目移りしてたのは私の方なんだってッ･･だからッッ最低なのは私でッ廉くんは何も悪くないッ！、！！』







廉くんの手を握れば、ギュッとか細く握り返された。






廉くんだけが傷付いて、人から恨まれるなんて･･そんなのあんまりだ。






形だけじゃなく、ちゃんと分かち合おう。






全部彼に任せないで、私もその重荷を半分背負う。






そうしたら、何か大切なものが見えるかもしれない･･そう思ったのだ。







『殴るんだったら私も殴りなよッッこれ以上ッ廉くんを傷付けないでッッ』






何であんな事を言ったのか、普段の私だったら考えられない。





それもこれも、全部岸くんが教えてくれた人を護る優しさのせいだろう。






余りにも突拍子な発言をしたのか、たじろいた彼達はその場をあとにした。






『あの子･･大丈夫かな』






凄く怯えていた女の子の心配が思わず声にでていて







廉「警察に相談する言うてたから大丈夫やろッ･･ゲホッゲホッッ、、」







廉くんは前髪で顔を隠したまま、ゆっくり起き上がった。






本当に痛々しい。




全身傷だらけだった。








『王子様が随分無様な格好してるね』







ふとずっと握っていた彼の手に急に意識してしまって、咄嗟にパッと離した。







廉「俺の事、何で助けたん？」







正直に言うのが、なんか彼との関係に変な違和感を感じて、





私は照れくささも反面、それを隠すように貶した。








『私はかっこ悪いの見て笑いに来ただけッ』







すると君はいつもみたいに人を小馬鹿にするような笑い方をする。







廉「ふはっ、にしては随分度胸ある行動やったな」








彼は、私の手に自分の手をのせてゆっくり宥めるようにする。





それが歯痒いというか、なんかいつもの彼じゃなさすぎて調子が狂う。







廉「もうちょい素直になったら可愛えのに･･ありがとうな」






認めたくなくても頬が熱を持っている事に気が付いてしまった。

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