愛されて A N G E L (青) (ページ48)

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Angel.48(OKURA) ページ48

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章「ん、ん……」

しばらく様子を見てたら、急にモジモジし出したヤス。
もしやと思って俺から声をかけてみる。

「章ちゃん、おトイレちゃうの？」

章「ちゃうもん！しょーちゃんおえかきしてるんやもん」

「お絵描きはまたあとでしたらええやんか、おトイレ行くで」

どっからどう見ても我慢してるようにしか見えへんのやけど、
本人は頑なに“違う”の一点張り。

さすがに痺れを切らして無理やり連れて行こうと立ち上がった時、落ち着きなくモジモジしとった動きがピタッと止まった。

章「んぁ……」

「あ、おしっこしてもうたやろ」

章「んーん、してへん！」

何食わぬ顔してまた絵を描き始めようとするから、
一旦手をストップさせる。

「嘘ついたらあかんで」

章「うそちゃうもん………」

罰が悪そうに俯いてもうたから、
大人しくなった隙に床にころーんと寝かせて確認する。

「ほらぁ、やっぱりおトイレしたかったんやんか」

章「しょーちゃんわからへんかったもん……」

きっとほんまは分かってたはずやのに、
分からへんやったぁって泣き始めてしまったヤス。

多分これも、“眠たいけど寝たくない”とおんなじ原理やねんな。
上手く誘導させてあげられるように作戦考えなあかんわ。

「そっかぁ、分からへんかってんなぁ」

章「うん……わからへんかったのぉ」

スッキリ新しいおむつに替えてあげてんけど、
ヤスの機嫌はスッキリしてへんみたい。

「もうお絵描きはええの？」

章「だっこがいぃ……」

べったり俺にひっついたままグズグズさんになってもうた。

まだみんなの仕事が終わるまでは結構時間がある。
何して時間を潰そうかなぁって考えてたら、あることを思い出した。

「なぁ章ちゃん、DVD見ぃひん？」

章「でぃーぶいでぃー？」

パソコンの中に取り込んでたLIVE DVDのデータを思い出して、
ヤスに見せてみようと思ってん。

章「あ、しゅばぁ！」

順番に俺らが1人ずつ映るたびに名前を呼んで興奮しててん。

でもな……

章「これは……わからへん……」

ヤス自身が映った途端、急にさっきまでの勢いがなくなった。

「わからへんの？この青の人やで？」

章「うん……しょーちゃんのしらへんひと」

今のヤスに見せたらあかんものを見せてしまった気分になって、
すぐにパソコンを閉じた。