愛されて A N G E L (青) (ページ43)

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Angel.43(NISHIKIDO) ページ43

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章ちゃんの泣き声がフライト中のBGM。
乱気流のせいでときたま機体が揺れるから、それが怖いみたいやねん。

章「こぁいぃ……いやぁ……」

丸「もう少し辛抱やで」

シートベルトは外されへんし、さすがに可哀想やからなんか無いかなと思って、自分の手荷物の中を手当たり次第漁ってみる。

「あ、これええかも」

手に取ったのは、俺が移動中によく愛用しているヘッドフォン。
周りの音がシャットアウトされるやつやから、章ちゃんの気持ちも落ち着くかなって。

「丸、これ使ってみ」

丸「ん？ああ、なるほど！」

前の席におる丸にヘッドフォンを渡して章ちゃんの耳に当ててもらう。

何されるんやろうって、不安そうやった章ちゃんやったけど、

章「あ！このおうたしってる！」

音楽をかけてあげるとパッと明るい表情になった。

丸「亮ちゃんの作戦、大成功ですやん」

元々音楽が好きな子やから、
あっという間に自分の世界に入ってくれてん。

口ずさみはせぇへんけど、両手をヘッドフォンに置いて目を閉じてたまま曲を聴いてくれてる。

丸「何の曲流してはるの？」

「えー、秘密」

今の章ちゃんに歌詞の意味が理解できてるかどうかなんて、
俺にはわからへんけど……

もし、ココロの奥底に眠ってる“安田章大”に少しでも響いてくれるんじゃ無いかと思って流した曲。

「俺が、辛い時に救われた曲やで」

丸「へぇ、伝わるとええですね」

俺たちは今、章ちゃんの名前を呼ん待ってるんやで。

俺たちはどんな時でも章ちゃんと一緒。
離れ離れになんかなれへんから。
7人で、素敵な楽園を探しに行こうよ。
みんなで手を繋げば怖くないで？

“特別なココロで、あてもない旅にでかけようや”

音楽のおかげで章ちゃんも落ち着きを取り戻してくれたから、
今度は俺もぐっすり寝れそう。

もう一度深めに帽子を被り直して、目を閉じた。