愛されて A N G E L (青) (ページ33)

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Angel.33(SHIBUTANI) ページ33

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テレビ局の楽屋で待機中。

出番まではもう少し時間もあるし、
ちょっとだけ仮眠しようかなぁと思うてたら、机の上の携帯が鳴った。

「ん、……なんや、ヒナか」

発信先を確認して通話のボタンを押した瞬間、
聞こえてきたのはヤスの声やった。

章(……しゅばぁぁ、あい、たいｯ)

電話の向こうで“帰ってきて”と泣くヤスは途中からなんて言うてるか分からへんくらいぎゃんぎゃん喚いてんねん。

そない泣かれたら、おっさん帰りたなるわ。

村(あ、すばる？仕事中にごめんなぁ)

「まだ収録始まってへんから大丈夫やで」

村(おまえに会いたい言うて聞かへんねん)

かわええお願いやけど、仕事は仕事やからなぁ。
すぐには帰ってあげられへんねん。

「もっかいヤスに代わってや」

村(わかった、ほら、すばるが話したいねんて)

いつも通り行けば、収録が終わるのは夕方頃。
17時過ぎにはテレビ局を出れるな。

章(っふぇぇ……しゅばぁぁ)

「今時計見れるか？」

章(とけ、い？)

「短い針が6になったら帰れるから、それまでええ子で待っててくれへんか？」

“章ちゃんならお利口さんやからできるやんな？”って言うと、

章(んっ、しょーちゃっ、ええこで、まってるぅ)

ヒクヒク言いながら、一生懸命泣き止もうとしとる。

「ほんならまたヒナに代わってや」

章(ん、しんちゃ、どーぞっ)

村(あいあい、もーやっと落ち着いてくれたわ)

ありがとうなって言うヒナに、
18時には帰り着くからって伝えて電話を切る。

「はぁ、とんだ嵐やったなぁ」

あんなけ泣いて求められると嬉しいような、
恥ずかしいような、変にくすぐったい気持ちになってもうた。

ヤスの好きなもんでも買うて帰ったろうかなぁ。